最近のビジネスシーンでは、日常の会話や文章の中で、英語の略語が使われることが多くなってきました。
代表的なものとしては「ASAP」「AFAIK」「FYI」などがありますね。
なんとなく意味はわかるけど、自分が進んで使うまでの自信はない。
そんな人のために、今回は最も頻繁に使われる「ASAP」を中心とした解説をしたいと思います。
その内容は、「ASAP」の意味や正しい使い方と注意点の解説、また似ている言葉や間違いやすい言葉などの紹介になります。
ビジネス用語「ASAP」の意味・読み方とは?
「ASAP」は英語の『as soon as possible』の略語で、第1次世界大戦中の軍隊で生まれた言葉と言われています。
ネイティブな読み方としては、『アサップ』とか『エイサップ』という言い方をします。
日本語としての一般的な意味は、“できるだけ早く”という意味になります。
今どきの若者言葉で言うと、「なる早」に近い意味ですね。
しかしビジネス用語で使う場合は、“できるだけ早く”と、もう少し強い意味の“最優先で”という2つの意味がありますので、気をつけて使い分けてください。
この「ASAP」という言葉は、少しカジュアルな言い方になりますので、社内外の公的な文書や会議では使わない方が賢明です。
一般的には日常のビジネスシーンの中で、社内外の会話やメールなどで良く使われます。
使い方としては、相手に指示したり依頼したりする場合と、自分が相手に返事する場合の2通りがあります。
いずれの場合も文章では、文末に「ASAP(asap)」をつけ、以下のように表現するのが一般的です。
- 《相手に指示や依頼するとき》・・・Please reply asap (出来るだけ早く返事をください)、Please finish this job ASAP (早くこの仕事を片付けてください)
- 《相手に返事をするとき》・・・I will reply asap (できるだけ早く返事します)、I will finish this job ASAP(できるだけ早くこの仕事を片付けます)
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「ASAP」の正しい使い方を例文で解説
ここからは、「ASAP」の正しい使い方を例文付きで解説していきます。
今回は、以下の2つのシチュエーションを想定して、「ASAP」の使い方を紹介していきます。
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①「できるだけ早く」という意味で使われるASAP
ここでは「ASAP」の意味でも、「できるだけ早く」として使われるシチュエーションを想定しています。
上司が部下に対して指示を出しますが、それほど緊急性はなく『優先的に!』という意味合いが強いですね。
シチュエーション
ASAP?えーと、どういう意味だっけ?
わかりやすい意味に変換
この資料は明日必要だから『できるだけ早く』で仕上げてね。
了解です!なるべく早く仕上げますね。
使い方の解説
ここで上司が使っている「ASAP」の意味を、もう少し詳しく心の内を解説してみたいと思います。
“この資料は私が明日使うから、事前に確認もしたいし、優先的に仕上げて出来上がり次第、すぐに提出してね”という気持ちだと思います。
状況としては、当然、就業時間内に終わる仕事量でもあり、また頼む部下のキャパがオーバーワークではないという前提です。
もしこのとき、それよりも優先すべき仕事を抱えている場合や、キャパオーバーの場合は、その旨を伝えて調整すべきです。
②「最優先」という意味で使われるASAP
ここでの「ASAP」の意味は、「最優先」として使われるシチュエーションを想定しています。
この状況での上司の指示は、緊急性が高く『なによりも最優先で!』という意味合いが強く、時間的にも逼迫している状態ですね。
シチュエーション
この案件は緊急度高いから『ASAP』で対応して!
ASAP?この人は何を言っているのだろうか・・・。
わかりやすい意味に変換
この案件は緊急度高いから『最優先』で対応して!
急ぎなんですね?すぐに対応します!
使い方の解説
ここで上司が使っている「ASAP」の意味を、もう少し詳しく心の内を解説してみたいと思います。
“これは何よりも優先する緊急案件だから、他の仕事を後まわしにしてでも、すぐに取りかかってくれ!”という気持ちだと思います。
状況としては、緊急かつ重要な案件であり、すぐに対応しないと問題が発生する可能性が高いと思われます。
もしこのとき、他の重要な案件を抱えている場合や、1人では時間内に処理できない場合は、その旨を伝えて応援を要請するなり対処すべきです。
「ASAP」を使う際に注意すべき2つのこと
「ASAP」は使い慣れると便利な略語ですが、使う場合には以下の2つに注意して使用してください。
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①「ASAP」は上から目線で言う言葉
「ASAP」という略語を使われて依頼された場合の、受け手の印象としては、指示・命令的な意味合いにとる人が多いと思います。
ですので、取引先(依頼先)や上司・先輩に依頼する場合の使用は適切ではありませんね
社内でのポジションとしては、あくまでも部下や自分と同等の立場にいる人までの使用に限定すべきです。
でも、取引先や上司・先輩に、どうしても急いでやってほしい場合には、「ASAP」と略語にせずに『as soon as possible』と普通に使用してください。
文字数の縛りがあったり依頼の強さを表現したくて、どうしても「ASAP」を使いたい場合には、以下のようにもう少し丁寧な表現に変えて依頼しましょう。
- I’m sorry,please reply asap (申し訳ないですが、出来るだけ早く返事をください)
- Could you please reply asap (出来るだけ早く返事が頂けますでしょうか)
②「ASAP」は期限を指定しない
使い方の例文で解説しましたが、ビジネス用語としての「ASAP」には、「できるだけ早く」と「最優先」の意味の2つがあります。
しかしいずれの場合にも、基本的に期限の指定はしないのが一般的な使い方です。
逆に言うと、期限を指定する場合には「ASAP」を使うのは不適切ということです。
たとえ「最優先」の意味で言われた場合でも、“いつまでにではなくすぐに取りかかって、すぐに終わらせろ!”の意味で、期限は限りなく早くになります。
しかし、上司や取引先に期限指定なしの「最優先」という意味で「ASAP」を使われた場合には、少し困ってしまいますね。
その場合の少し優秀なビジネスマンは、“緊急なことはわかりましたが、最悪いつまでに対応すればよいのでしょうか?”と、確認することを怠りません。
「ASAP」と似ている言葉・間違いやすい言葉
現在のビジネス用語として使われる英語の略語は数多くあり、今後も増加していくと思われます。
今後の増加の過程で、まるで違う分野で意図せず偶然に、同じ略語になる場合も増えてきますね。
ここでは、「ASAP」と似ている言葉や、勘違いして間違いやすい言葉に絞り紹介したいと思います。
また「ASAP」と同様に、ビジネス用語としてよく使われている「AFAIK」や「FYI」も紹介しますので、参考にしてください。
「ASAP」と「ASAP Rocky」の違いとは?
若い人に「ASAP」と言うと、「ASAP Rocky」と勘違いする人がいるかもしれませんね。
「ASAP Rocky(エイサップ・ロッキー)」は、アメリカの有名なラッパーのことで、「ASAP Mob(エイサップ・モブ)」に所属しているアーティストになります。
「ASAP Mob」は、ニューヨーク(ハーレム)を中心としたメンバーで構成される、新世代クリエーター集団です。
その構成は『ラッパー・プロデューサー・ファッションデザイナー・ビデオディレクター』などからなり、ファッションアイコンとして、多数のブランドの広告にも起用されています。
ちなみに、ここの「ASAP」の意味は“Always strive and proper(常に繁栄し本物であり続ける)”の略語になります。
「ASAP」と「As Slow As Possible」の違いとは?
「As Slow As Possible」も略語で表すと、これも「ASAP」となります。
本来の「ASAP」は「As Soon As Possible」ですので、「soon」と「slow」の部分が違いますね。
略語で表すと同じ「ASAP」になりますが、「As Slow As Possible」の意味は“できるだけ遅く”ですので、まったく逆の意味になります。
間違えないか心配する人がいるかもしれませんが、「As Slow As Possible」をあえて略語で表現することはありませんので、ご安心ください。
ちなみに、同じ「As Slow As Possible」の略語として異質なものを挙げると、アメリカ人のジョン・ケージの作曲によるオルガンまたはピアノの楽曲があります。
この楽曲の演奏時間は、事実的には無制限のため、世界最長の演奏ができる作品の1つになっています。
「ASAP」と「Always Say A Prayer」の違いとは?
「Always Say A Prayer」も略語で表すと、これまた「ASAP」になりますね。
この意味は“いつも祈りをささげる”ですが、これはキリスト教徒の間でよく知られている、詠み人知らずの「詩」になります。
この詩の文末は、「あなたがいつも祈りをささげていたら、神様はすぐに応じてくれます」となっています。
それを原文で表記すると「When you Always Say A Prayer He’ll respond A.S.A.P.」となり「ASAP」のダブル使いになっています。
わかりますか?最後の略語「ASAP」は、本来の“できるだけ早く”に近い意味で使われています。
ちなみに、“いつも祈りをささげる”の意味での「ASAP」は、「A.S.A.P」のロゴマークの入った商品としても売られていますね。
「ASAP」と「AFAIK」の違いとは?
「AFAIK」は「ASAP」同様に、ビジネス用語としてよく使われる略語です。
これは『as far as I know』の略語で、“私の知る限りでは”という意味です。
主に文章を短縮して作成するために使いますが、社内外の公的な文書やメールでは使うのを避けるべきです。
この略語は、文章の文頭及び文末のどちらでもつけて、以下のように使えます。
- AFAIK,he is excellennt (私の知る限り、彼は優秀です)
- That information is correct,AFAIK (私の知る限り、その情報は正しいと思います)
「ASAP」と「FYI」の違いとは?
「FYI」も「ASAP」同様に、ビジネス用語としてよく使われる略語です。
これは『For your information』の略語で、“参考までに”とか“一応、言っておきますが”とか“確認のために”というい.みです。
略語としての読み方は、『エフ・ワイ・アイ』や『フアイ』という言い方をします。
「FYI」は日常のビズネスメールの件名などで使いますので、情報共有的な意味合いが濃く、正式な文章では使うのは避けるべきです。
この略語をメールの件名に使うことで、閲覧する側にとっては、本文を読む前に重要性が低く返信の必要がないことが把握できます。
文字としては3文字ですが、“重要なメールではなく返事も不要ですが、時間の余裕のあるときに見て、情報として参考にしてください”という意味を表しています。
まとめ
社内で日常的に使われている英語の略語を、社外で使う場合には、「社内の常識=世間の常識」ではありませんので要注意です。
気持ち的には、こちらから先に使わず、相手が使ってきたら使い返すぐらいの慎重さが必要です。
特にネイティブな英語を使う人に対しては、失礼な表現になる場合もありますので、できるだけ丁寧な表現になるように心がけてください。
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