スキルアップという言葉は皆さん良くご存知だと思いますが、「キャッチアップ」という言葉の正確な意味は、意外に知らないのではないでしょうか?
効率的にスキルアップしていくには、『キャッチアップ能力』を高める必要があります。
今回は、スキルアップするための重要な手段である、「キャッチアップ」を解説していきます。
その内容は、「キャッチアップ」の意味と正しい使い方、「キャッチアップが早い」の意味とは、「キャッチアップ」をするためにやるべきこと5選!になります。
目次
ビジネス用語「キャッチアップ(catch-up)」の意味とは?
ビジネス用語としての「キャッチアップ」には、『遅れを取り戻す』という意味と『追いつく』という意味の2つがあります。 わかりやすく言うと、“先行している『仕事』や『目標とする人』に追いついて、同一線上に並ぶ”という意味ですね。
『遅れを取り戻す』という「キャッチアップ」は、さらに分かれて《情報のキャッチアップ》と《新たな職場環境への事前適合》という2つの意味になります。
《情報のキャッチアップ》は、参加できなかった会議や、現場に居合わせなかった状況などの、情報収集の意味です。 言い換えると、先行している当事者と同一レベルの判断ができるように、いち早く情報の収集を行ないその内容を把握しておくことです。
《新たな職場環境への事前適合》は、転職や社内異動などで、新しい職場環境へ適合するための事前準備になります。 未経験の業界への転職や、未経験の職種に異動する場合には、その業界や職種の基本的な知識や情報を事前に身に付けておく必要があります。
『追いつく』という「キャッチアップ」も、さらに分かれて《目標とする人》と《目標とする自分》に追いつくという2つの意味になります。 いずれの場合も、追いつきたいという『目標』を持つことは、目標を持たない人と比較したら、スキルアップのスピードは速くなるはずです。 企業の中に、このような自分の能力を高めていくという風土が根付いている企業は、人財基盤がしっかりしている企業と言えるでしょうね。
これからの時代がビジネスマンに要求してくることは、「キャッチアップ能力」を高めて、効率的なスキルアップをしていくことです。 その理由としては、以下のようなことが考えられます。
- 企業は新卒者であろうと転職者であろうと、短期間で戦力になることを求めています。
- 情報や知識はPCやスマホ1つで何でも手に入る時代になりましたが、その膨大な情報や知識を使いこなす能力が求められています。
- 昨日の情報はもう古く、IT・IOTなどの発達によりビジネススキルの陳腐化が早くなり、現状のスキルも来年には通用しなくなるかもしれません。
- 実践で使わない能力は不要であり、類似した能力や資格も必要なく、異業種の能力も保有している人財こそが、これから求められるビジネスマンになります。
「キャッチアップが早い」の意味
「キャッチアップが早い」の意味とは、「出来ないことが出来るようになるまでのスピードが速い」と考えてよいでしょう。
IT業界で使われる「キャッチアップ」の意味とは?
IT業界で使われる「キャッチアップ」の代表的なものとしては、『ニュースリーダー』の機能の1つに「キャッチアップ」という機能があります。
これは未読でため込んでしまったニュースを一括して既読にし、最新のニュースを見られるようにする機能のことですね。
なぜこの機能が必要かというと、『ニュースリーダー』では既読サインが付いていないと、新しい記事を受取ることができないシステムになっているからです。
『ニュースリーダー』とは、インターネットでのニュースの閲覧や書き込みをするためのソフトウェアのことです。
『ニュースリーダー』を利用すると、報道各社がそれぞれに配信しているニュースが一元管理され、集約された形で閲覧できるようになります。
このソフトには「キャッチアップ」機能以外に、ニュースの選定や取り置き、要約の紹介、ジャンルの最適化、ソーシャルメディアとの連携などの機能もあります。
IT業界のその他の「キャッチアップ」の意味では、ゲーム用語で自分より強い相手を倒したときにもらえる経験値のことを、「キャッチアップ経験値」と言います。
また、ネット上の画像・動画・音楽や文章・記事などを、『Tumblr』などでクリックして取込むことを「キャッチアップ」とも言いますね。
経済分野で使われる「キャッチアップ」の意味とは?
国や国民が豊かになるには、基本条件として、経済システムや生産技術やインフラなどの整備が必要になります。
諸々の事情で、このような経済基盤が整わずに、経済的な発展が遅れている国がありますね。
これらの国々が、経済・技術・インフラなどの経済基盤を発展できるまでの水準まで追いつくことを、経済分野では「キャッチアップ」と言います。
経済的な発展の遅れを取り戻すには、基本的な戦略として、2つの段階に分けてステップアップしていく手法が取られます。
第1ステップとしては、経済基盤の遅れを取り戻し、発展を加速させる水準にまで追いつくため、「キャッチアップ」を成功させることです。
第2ステップとしては、国民性・資源・地理的環境・労働力・教育レベルなど、世界水準から見た国の強みを分析することからスタートします。
そして次に、現状でも優位性が発揮できる分野から、世界水準を上回る経済的武器へと発展させていきます。
医療業界で使われる「キャッチアップ」の意味とは?
医療業界の「キャッチアップ」は、産婦人科病院や介護現場での専門用語として使われています。
産婦人科の病院では、『キャッチアップ現象』と『キャッチアップ障害(ピックアップ障害)』という言葉が使われています。
『キャッチアップ現象』とは、母体中の赤ちゃんの成長が、何らかの原因により途中で遅れても、あとで一気に成長が進み、問題なく出産できる現象のことです。
『キャッチアップ障害』は、卵巣から出てきた卵子を吸収する卵管采が機能しないことで、不妊症の原因の1つとなり、少子化社会の日本では問題視されています。
介護現場では、電動式ベッドの角度を徐々に上げていくことを「キャッチアップ」と言います。
起立性低血圧の患者にとって、急に身体を起こすことは血圧低下を起こす可能性があるため、ベッドの角度を徐々に上げることで血圧の変化を抑制する方法です。
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「キャッチアップ」の正しい使い方を例文で解説
ここからは、「キャッチアップ」の正しい使い方を例文付きで解説していきます。
今回は、以下の2つのシチュエーションを想定して、「キャッチアップ」の使い方を紹介していきます。
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「遅れを取り戻す」という意味で使われるキャッチアップ
やむ負えない何らかの事情で、他の人と比べて仕事の流れに乗り遅れてしまう場合があります。
その時の対処法として取るべきことは、できるだけ早く他の人に追いつく努力を怠らないことです。
最悪なのは、遅れを最後まで取り戻せず、主体的に仕事ができずに終わってしまうことです。
シチュエーション
キャッチアップ?えーと、どういう意味だっけ?
わかりやすい意味に変換
君は先週の会議を欠席していたよね?『遅れを取り戻すの』は間に合いそう?
大丈夫です!今日の朝に、議事録には一通り目を通しておきましたので!
使い方の解説
正当な理由があって会議に出席できず、その理由を上司や同僚が把握していれば、できるだけ早く遅れを取り戻すことを優先させましょう。
しかし、もし私的な理由で欠席したのであれば、まずは謝罪の言葉から入るのが適切ですね。
たとえば、家庭の事情や個人の業務の処理能力が原因の場合などです。
そして、もし前回会議の内容確認で不明な点があったら、次回の会議までに、事前に参加者へのヒアリングをして確認しておくのが常識です。
「自分より上の人に追いつく」という意味で使われるキャッチアップ
自分のスキルを向上させるために、自分より優れた能力を持っている人を目標にして、キャッチアップしていく方法があります。
ただ漠然とした目標ではなく、具体的な『人』や『能力・資格』などの目標を決めることは、自身のモチベーションアップにもつながってきます。
シチュエーション
社内だと事業部MVPを取ったA先輩が憧れです。だから、少しでも早く『キャッチアップしたい』と思います。
キャッチアップってどういう意味だっけ?
わかりやすい意味に変換
社内だと事業部MVPを取ったA先輩が憧れです。だから、少しでも早く『追いつきたい』と思います。
そうなんだ!じゃあ、今期の売上で部署内1位になれるように頑張ろうね!
使い方の解説
上記の例文は、自分より優れた人に追いつくという意味のキャッチアップです。
この「キャッチアップ」にはもう1つの意味があり、目標とする自分に追いつくという意味があります。
ビジネスマンは大きく分けると2つのタイプに分けられます。
必要に迫られスキルアップする人と、将来の目標とする自分を目指してスキルアップする人です。
もちろん、有能と言われるビジネスマンは、「キャッチアップ」をスキルアップの1つの手段と捉えている後者の方ですね。
「キャッチアップ」をするためにやるべきこと5選!
「キャッチアップ」がスキルアップするために重要な要素であることは、理解できたと思います。
ここでは、「キャッチアップ」するためにやるべきことを5つ紹介しますので、ぜひ参考にして実践していただければと思います。
①職場環境変化への素早い適合
今後の日本では、少子化による若年労働者の減少、それを補う外国人労働者の増加、IT・IOTの進化による労働形態や仕事スタイルの変化が予測されます。
これらの現象は、今後の日本の産業構造が急激に変化し、今よりも転職や異動の機会が増加してくることを意味しています。
これからのビジネスマンは、増加する転職や異動の機会に備えて、職場環境の変化に素早く適合できるような準備をしておく必要があります。
近い将来、ビジネスマンの中で1%のスペシャリストは必要であっても、その他のビジネスマンには汎用性の高い仕事の質を求められる時代になるでしょう。
そのため、スペシャリスト以外のビジネスマンには、職場の環境変化に素早く適合できる幅広いスキルを身に付けておく必要が出てきます。
たとえば、50~70%の力で本業を行ない、30~50%の力で副業や兼業を行なうというのも、1つの方法になりますね。
②情報の最適化
情報量は今後ますます増加しますが、それを上手く使いこなすことが、重要なスキルとして必要になってきます。
しかし、受け手のキャパシティが増加するわけではなく、自分なりの効率的な情報収集と、必要な情報選択の方法を確立しなければなりません。
『情報の最適化』とは、現在あるいは将来の自分にとって必要であり、それを実践に活かすという前提の情報のみを選択し、収集することと理解してください。
わかりやすく言うと、自分に利益をもたらす情報のみを収集し、その他の不必要で、逆に効率を悪化させる大量の情報は切り捨てるということです。
自分に必要な情報のジャンルや知識を選択し、その情報をいつでも素早く取り出せるように整理保管しておくことは、仕事の効率化にもつながります。
現在のネットワーク上の記事には、まだ法的な規制が追いついていないため、30%の記事の中には間違いがあると言われています。
これからは、その間違った記事を信用して行動し、失敗するリスクも増加してきます
一般的に政府機関などが出している公的な記事は、読む煩わしさはありますが、まずはその公的な記事を参照してから、他の記事を参照することをお薦めします。
③キャッチアップは迅速かつ効率的に
これからは今まで以上に情報や技術の革新が急速に進み、ビジネス現場では業務を遂行する手法が短いサイクルで変化していきます。
したがって最新のスキルを身に付けるには、「キャッチアップ」をなるべく短期間で効率的に行ない、業務手法の変化に取り残されないように注意すべきです。
本来は行政の指導の下に、企業や業界も越えて、統一した仕様(手段)で情報や技術の革新が行なわれるのがベストです。
そうすることで、労働力の流動性と人的効率も向上しますが、グループ企業内とか業界単位では可能だとしても、まだ国家単位では当面は無理みたいですね。
業務手法変更に際しては、今までは企業責任で集合教育などが行なわれましたが、今後の業務手法変更への適合は、個人責任となる時代が近づいています。
現在はExcelやPowerPointをやれるのが常識になったように、これからは「キャッチアップ能力」もビジネスマンのスキルとして常識になってくるでしょう。
④反復実践でのキャッチアップ
反復とは何度も繰り返すことで、自分のスキルとして身に付けることです。
保有している能力や知識や資格は、それを実践して価値に転化することで、初めて“使える能力”になります。
自分にとって本当に必要なモノであれば、反復実践することで自分の“使える能力”とし、自身の価値を高めてください。
知識は不要な知識を記憶するのではなく、必要な知識を何度も反復して見ることで覚えましょう。
学校の試験のように、頭の中に一時的に記憶させるのではなく、何度も繰り返し見ることで“覚える=身に付く”ことができます。
また、失敗と成功の経験を重ねる反復実践で、スキルが向上し成功の確率が高まってきます。
実践による成功に裏付けされたスキルであるからこそ、自信ある発言と行動が取れるようになりますね。
⑤ルーティンワークの効率化
「キャッチアップ」は、先行している仕事や目標としている人に追いつき、同一線上に並ぶことです。
つまり、先行している仕事や人に遅れをとっているわけですので、スピードを上げて追いつかなければなりません。
とは言え、日常のルーティンワーク的な仕事はいつの時代にも山ほどあり、なかなか追いつくための時間が無いのが実情ですね。
その時間を作り出すためには、日常のルーティンワークのやり方にメスを入れる必要があります。
創造的な仕事の時間を捻出するには、模倣的な仕事(ルーティンワーク)の効率化が必要です。
仕事のムダな時間は、ルーティンワークの中に70%は潜在しています。
なぜならルーティンワークは、ほとんどの人の就労時間の70%以上を占めていているからです。
会社のマニュアルに沿ったルーティンワークのムダな部分を見つけ出し、自分なりに実践できる時間短縮方法を考えましょう。
キャッチアップの意味と使い方まとめ
スキルアップするためには、キャッチアップ能力は必要不可欠な要素になります。
社会人として、またビジネスマンとしても、日常的に「キャッチアップ」していく姿勢は必要ですね。
日々の業務で常に「キャッチアップ」の姿勢を示すことは、上司からは信用され、同僚からも信頼されるビジネスマンへの近道になると思います。
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