会社から逃げる最終手段が、無断退職。
いわゆる「バックレ」や「ブッチ」というものです。
つまり、会社に何も言わず、突然職場へ行かなくなることです。
そういった退職の仕方はもちろん良くはないですよね。
ただ一人の労働者として話を聞いてみると、逃げるが勝ちのような職場もあるのが事実です。
- どれだけ話をしても辞めさせてもらえず、無断退職するしかないと思った
- 上司がパワハラ気味で怖く、逃げられないと思った
- ブラック企業で仕事が辛く、続けるのは困難だと思った
- ストレスに疲れうつ病になったが、職場に理解がなく逃げるしかないと思った
- 無断欠勤中で職場に行きづらく、そのまま辞めようと思った
- 職場でトラブルがあり、逃げたいと思った
以上のように、逃げるように退職した方には様々な例があります。
ただし実際問題として、無断退職や無断欠勤にはいくつか問題があります。
この記事では、無断退職をした時のリスクについてや、バックレた後にすべきことなどについてご紹介します。
退職代行サービスをご存知ですか?
バックレについてお話する前に、すでに限界の状態の人へ向けて先にご紹介しておきます。
現在は退職代行サービスというものがあり、私たちと会社の間に入って退職することを伝えてくれます。
私たちは会社の人間と一言も話さず即日退職できますし、「退職の意思を伝えている=無断退職ではなくなる」ため、トラブルの防止になります。
それに本来退職というのは労働者の権利なため、退職代行サービスを使った退職の成功はほぼ確実です。
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退職も早い人だと相談して数十分でも可能なので、もし興味があれば以下の記事も読んでみてください。
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アルバイトの無断欠勤の実態
アルバイトでの無断欠勤がどの程度発生しているのかについては、いくつかの調査が行われています。例えば、2014年のタウンワークの調査では、短大生・大学生・大学院生283名を対象にした調査で、「無断欠勤をしたことがある」と答えた学生の割合は4.9%でした。これは、一見少ない割合に見えますが、アルバイト先の職場規模や人員数によっては、少数の無断欠勤でも業務に重大な影響を与える可能性があります。
無断欠勤に関する統計データ
調査項目 | 結果 |
---|---|
調査対象人数 | 283名 |
無断欠勤経験者 | 4.9% |
無断欠勤の理由 | 「忘れていた」「寝坊」「行きたくなかった」 |
無断欠勤後の行動 | 「謝罪して継続」「そのまま辞めた」 |
参考:タウンワークマガジン
無断欠勤の理由としては、「忘れていた」や「寝坊」といった比較的軽微なものが多いですが、「行きたくなかった」と答えた人も少なくありません。この理由による無断欠勤の場合、ほとんどのケースで「そのまま辞めた」という結果が出ています。
無断欠勤すると会社の対応はどうなるか?
雇用形態により、契約期間や規定が異なります。
また、無断欠勤されたからと言って、会社がすぐに解雇できないのも事実です。
無断欠勤により会社がどう対応するのかについて、ご説明します。
正社員、新入社員の場合
正社員と一部の無期雇用派遣社員で働いている人は、大抵は「期間の定めのない雇用契約」を結んでいると思われます。
この「期間の定めのない雇用契約」を結んでいる方は任意の時期に辞めることは可能なのですが、好きなタイミングでいつでも(リスクなく)退職できるわけではありません。
民法627条に、「2週間以内に退職して損害等が出た場合は、会社側は損害賠償請求などをする権利がある」という規定があります。
つまり正社員やアルバイト、パート、無期限雇用の派遣社員の方がバックレをすると、会社側から損害賠償請求をされるケースがあるのです。
契約社員、派遣社員、パート、アルバイトの場合
一方、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなど期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)を結んでいる場合はどうでしょう?
この契約は「○年○月○日までの期間を定めて雇用を契約する」となっていて、本来であれば期間内は会社側からも労働者側からも、雇用契約の解除(解雇や退職など)ができません。
そこをバックレたりブッチしてしまうわけですから、やはり損害賠償請求をされる可能性はあります。
ただし契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなど期間の定めのある雇用契約の場合、「心身の異常や家族の看護など、やむを得ない状況の場合は契約期間中でも途中解約ができる」こととなっています。
なのでリスクとリターンを考えると、一言でもいいので「体の調子が悪いので辞めます」と退職の手紙でも送っておいたほうが無難です。
訴えられる可能性が大幅に下がります。
無断欠勤してもすぐには解雇にならない
無断欠勤をしたとしても、すぐに解雇にならない場合がほとんどです。
その理由は、会社側が不当解雇として訴えられるリスクがあるからという点にあります。
- いじめやパワハラの事実がある場合
- 無断欠勤の理由が精神的なものだった場合
- 労働時間が確認できない場合
- 14日間以内の無断欠勤である場合
以上のようなケースでは、簡単に解雇にはなりません。
そのため、会社側が当事者に対し、連絡を取ろうとすることは十分に考えられます。
バックレをした場合の3つのリスク
バックレをした場合に考えられる3つのリスクについて、ご紹介します。
1.損害賠償請求をされる可能性はゼロではない
正社員とその他の雇用形態の損害賠償請求の可能性についてご説明してきました。
民法上のルールでは、無断退職の結果、防ごうとしたものの実際に損害が出てしまった場合には、私たち労働者が賠償しなければなりません。
無断欠勤による損害賠償の可能性
損害の種類 | 具体例 | 損害賠償の可能性 |
---|---|---|
業務の遅延・中断 | 無断欠勤で業務が滞り、売上に影響を与えた場合 | 低い(立証が難しい) |
顧客との契約不履行 | 顧客対応ができず、契約が履行できなかった場合 | 可能だが請求額は低い |
貸与物の未返却 | 制服や備品を返却しない場合 | 高い(物品の実費請求可能) |
ただ、「損害の発生額の計算が難しい」「司法手続きが面倒」「回収金が少額な場合がほとんど」という点で、実際に損害賠償請求されるケースはほとんどありません。
しかし無断退職やブッチのリスクは、損害賠償だけではありません。
2.無断欠勤は懲役解雇の恐れもあり
無断退職のリスクは、損害賠償だけではありません。
バックレをすると退職が認められるまでの期間は無断欠勤扱いになりますから、会社の規定によっては懲戒解雇扱いとなる可能性もあります。
無断退職をして懲戒解雇になったとしても、履歴書には「都合により退職」と書いておけば特に追及されることはありません。
ただ、同業他社に再就職を考えている場合は、悪い評判が業界内で広がってしまうリスクはあります。
3.退職後に嫌がらせを受ける可能性も
他にもバックレた結果、嫌がらせを受ける可能性もあります
- 給料が振り込まれない
- 転職や退職の手続きに必要な雇用保険被保険者証・社会保険資格喪失証明書・離職票・年金手帳などを送ってもらえない
- 家に来たり、親に連絡したりする
サイトに寄せられた、具体的な内容をご紹介します。
何軒か人間関係の限界がきて、バックれています ほとんどがアルバイト雇用であり、一件は正社員です。
アルバイト2件は、給料の支払いがされなく、二年間勤め上げ、パワハラされ続けてバックれた所はきちんと話し合い、手渡しで給料を頂きました。
辞める理由に、税金の関係もあったので店側が配慮してくださっていたそうです。
もう一件は、すぐに辞めたので、話し合う事もなくそのまま現在も支払われておらずどうなっているかは分かりません。
あと、どこの職場もすごく電話してきます。困るのは分かりますが、やはり電話に出る事はできません。
正社員をバックれた際は何度か家に来てくださってたのを知ってるので、態々引っ越したほどです。
会いたくなかったので… 現在もアルバイト一件バックれてますが、どうなる事やら…
洗濯屋で働いていたことがありましたが、無断退職をしたことがあります。
洗濯屋で会社員をしていました。 私はお腹が急に痛くなってしまい下してしまったため連絡をせずにとりあえずいちど家に帰って薬を飲もうと思いそのまま家に帰ったのですが、その後戻りませんでした。
私の場合はなら仕方がないと許されましたが知り合いで無断欠勤をしたものは給料が振り込まれないと言うようなことがあったそうです。
他にもその人の家に電話をかけて聞いたり親に連絡をされた人もいます。
無断欠勤はしない方が良いのではないでしょうか。
実家に電話をかけられたり、万が一のことを考えて心配していると言うこともあるのかもしれませんが、そのようなことになってしまってはたくさんの人に迷惑をかけてしまいます。やめた方が良いでしょう。
中堅スーパーマーケットに正社員として勤務していました。
諸事情あり、モラル的に全くよくなかったですが、勢いで無断退職をしてしまいました。
やはり第一に電話がすごかったです。いつ来るんだ!?の連呼でした。
一週間程度たった後、やめる意思を伝えると今度は今までのミスして会社へ損害を与えた分をどうやって補填するんだ?という、脅迫めいた電話がよくかかってきました。
その後、最終的には適当な理由をつけられて最終月分の給料からわけのわからない理由で色々給料を天引きされて、ほとんど給料がなかったことを覚えています。
懲戒解雇にはなっていなかったと思います。失業保険関係の書類は欲しかったですが、2か月くらい待たされてから自宅に郵送されてきました。
雇用形態は正社員です。
無断退職を行おうとした結果いつまで経っても退職扱いとはならず転勤が出来ない状態に陥りました。
私としては二度と会社に出たくなかったのですが、会社側は電話やメール、郵送等での退職手続きを拒み直接面談以外認めなかったため半年以上何も出来ずに家にこもる日々が続きました。
その間、私は鬱と診断してもらい休業手当金のみで暮らしていました。ボーナスは当然なく会社からの連絡は週に何度か電話が掛かってきて「何とか会社に来れないか?」の連絡だけでした。
無断欠勤の間の損害賠償請求等は何もありませんでした。
最終的には私の方がしびれを切らし転職に必要な書類を取りに会社に行きました。
相手側も何も悪びれる様子もなく事務的に退職手続きが行われただけだったのでこの半年間は本当に無駄な時間だと思います。
給料はたとえ無断退職だったとしても働いた分はもらう権利があります。
仮に賠償金があったとしても、給料から天引きしたりすることも違法です。
ただ相手側は私たちが何もできないと思い、嫌がらせとして「最後に働いた月の給料は手渡しだ」などと言う事も多いです。
その他にも、退職後に必要な書類も会社は速やかに用意しなければいけませんし、原則として、私的領域まで踏み込むことは許されていません。
困ったら退職代行サービスが便利!
困ったときは、退職代行サービスが便利です。
退職代行業者が私たちに代わって会社に
- 退職したい事
- 家に来たり親に連絡しないでほしい事
- 給料を振り込んで欲しい事
- 退職の手続きに必要な書類は何かについて
- 返却物はどうすれば良いか
以上のことなどを聞いたり伝えたりしてくれます(退職代行サービスについては詳しくはこちら)。
中には間に入って交渉してくれる、労働組合が運営する退職代行サービスもあり、より確実にトラブルを防ぐことが可能です。
まとめ
この記事の要点は、以下の通りです。
- バックレは雇用形態問わず、損害賠償請求をされる可能性がある
- 退職後の嫌がらせを受ける可能性がある
- 解雇扱いになる可能性もある
- 働いた分の給料をもらう権利はある
無断退職してしまうよりは、一方的でもいいので退職届を郵送しておいたほうが良いでしょう。
また、一番面倒なのが、退職後にしなければいけない各手続きだと思います。
転職するために会社から送ってもらう書類がありますし、手続きについても会社の人間には聞けませんよね。
ただし転職の手続き自体は通常の退職後と変わらないので、詳しくない場合は以下の記事も参考にしてみてください。