退職代行をお願いする際に迷うのが、退職代行業者に頼むか、それとも弁護士に頼むかですよね。
退職代行業者に頼んだ私から一言。
「お金に余裕がある」「そこまで急いでない」「自分ではなく退職代行を使って退職すると決めている」なら、弁護士に依頼して損はないと思います(笑)
いえ、別に私が退職代行業者に頼んで退職できなかったとかではないんです。
ホームページ通りに即日退職できましたし、退職後も何の問題もなく転職できました。
ただですね、お金と時間以外で弁護士に頼むデメリットがほとんど無いんですよ。
弁護士法違反の非弁行為という縛りがあるので、弁護士にできて退職代行業者にできないこともいくつかあります。
というわけでこの記事では、弁護士に退職代理を頼むメリットとデメリットについてご紹介しますね。
(退職代行サービス自体は法的に問題ないという話はこちら)
まず、退職だけなら退職代行サービスで何も問題ない
「とにかく退職したい」
「もう最悪の場合、給料とか残業代とかいいから、助けてほしい」
こういった「もう限界」状態で、退職代行サービスを利用される方も多いです。
そして、こういうケースは退職代行サービスに安価で頼んだほうが明らかに得です。
理由は簡単で、労働者は誰でも退職する権利があるため、安価な退職代行サービスであってもほぼ100%辞められるからです。
この件については、退職代行業務をされている弁護士さん自身が答えてくれています。
↓
昨今話題の退職代行サービスですが、どの代行業者も「成功率(ほぼ)100%」と謳っていますね。
なぜそんなに強気に宣伝できるのでしょうか?
それは、民法で「労働者は自由に退職できる」と定められているからです。
もう少し詳しくご説明すると、民法627条には、原則として、労働者が、退職の意思表示をして2週間を経過したら、退職が成立すると定められています。
(但し、6か月以上の期間によって報酬を定めた場合には、3か月前までに退職の意思表示をしなければなりません。)
つまり、会社の承諾は必要なく、労働者が辞めると言うだけで、労働契約は終了するのです。
代行業者の腕の良し悪しは、関係ありません。
引用:退職代行サービスは弁護士へ―https://taisyokubengosi.hatenablog.com/
退職代行サービスがすることは、当然の権利を会社に伝えるだけ。
別に法律面で争ってませんし、当然の権利なので会社も断れません。
そして、この内容だけだと弁護士も退職代行サービスもやる事は同じです。
ただしやることは同じでも、値段や対応できる時間などいくつか違いがあります。
↓
【大手退職代行サービス】
- あらゆるオプション全て込みで24000~29800円(税込)
- 雇用形態・職歴関係なし
- 相談回数無制限
- 電話回数無制限
- 24時間対応
- 即日退職可能
- 万が一失敗した場合は全額返金保証
【退職代行対応のC法律事務所】
- 社員65000円(税抜)、アルバイト・パート55000円(税抜)
- 即日退職の場合は追加で1万円(税抜)
- 交渉期間は2カ月間(それ以降は追加料金)
- 営業日のみの対応
- 初回相談30分のみ無料(それ以降は有料)
- 個人で対応しているため、退職まで1週間~10日ほどかかる恐れあり
- 返金保証なし
いかがでしょう。
これなら
- 費用は半分以下で
- 心配なことは事前にいくらでも相談できて
- 今日にでも仕事を辞められて
- 万が一の時は返金してくれる
退職代行サービスの方がお得だと思いませんか?
そういうわけで、ただ辞めたいだけなら退職代行サービスで何も問題は無いんです。
逆に、弁護士でしか対応できないケースって?
有給消化、残業代・給料・退職金などの未払い金…欲しいですよね。
言われのない損害賠償請求、民法に反する就業規則…従いたくないですよね。
こういった希望を会社に伝えることは、退職代行業者でも可能です。
そして9割の会社は、それを認めてくれます。
それはなぜかというと、法律で守られた私たちの当然の権利だからです。
それに退職代行業者は起訴が起こった時に、会社側の無理な主張や暴言を連絡記録として提供する事も出来ます。
要は、これまで法に反して言いくるめようとしていたものの、それを公にするかもしれない第三者が介入してくることで、「これは面倒なことになる」と急に態度が変わるんですよね。
なので、9割の場合は何も問題なく残業代や給料がもらえたり、有給が消化できたりします。
しかし、「交渉」に入れるのは弁護士のみ
でも、全ての会社が折れてくれるわけではないかもしれません。
世の中には「法律なんて知らねぇよ!うちはうちでやってんだ!」という会社もあるかもしれません。
しかし、相手の会社が明らかに無理のある損害賠償請求をしてきたとしても、退職代行サービスは裁判の交渉には移れません。
それは弁護士法違反の非弁行為になって、刑事処罰の対象になるからです。
ここで、弁護士さんの出番です!
弁護士は、例えば
- 損害賠償請求の裁判に発展した際に、それについて交渉したり
- パワハラなど、これまで受けてきたことについて慰謝料を請求したり
- 未払い残業代について拒否された際に交渉したり
- 退職金や給料の支払いを拒否されたときに、それについて請求したり
こういったことも可能になります。
要は退職代理を弁護士さんに頼むと、徹底的に戦えます。
弁護士法違反になる退職代行サービスと違って、手が届かないところがありませんからね。
- 法にのっとって、自分が正しいことを証明したい。
- 何が何でも退職金、給料、残業代を受け取りたい。
- 実際に損害賠償請求をされてしまった。
こういう方は、弁護士に頼むほかありません。
でも金額は高くなるし、返金保証付きの代行サービスの後でもいいような…
まず、初めから交渉に入る予定なら弁護士に頼むほかありません。
退職代行サービスでは、どれだけ粘ろうとも非弁行為になる交渉はできませんから。
ただこれまで言ったように、9割の会社は第三者が介入すると、すんなり許してくれます。
弁護士さんに頼んでも、交渉まで発展しないケースも当然あるわけです。
しかし交渉まで発展しなかった場合でも、
- 社員65000円(税抜)、アルバイト・パート55000円(税抜)
- 即日退職の場合は追加で1万円(税抜)
- 交渉期間は2カ月間(それ以降は追加料金)
- 営業日のみの対応
- 初回相談30分のみ無料(それ以降は有料)
- 個人で対応しているため、退職まで1週間~10日ほどかかる恐れあり
- 返金保証なし
というのは、退職代行サービスと比べると少し割高ですし、不便ですよね。
それなら返金保証のある退職代行サービスにとりあえずお願いして、もし会社に拒否されたら退職代行サービスに全額返金してもらって、それから改めて弁護士に相談するのが合理的だと思いませんか?
退職代行サービスでうまくいけば、少なくとも25000円は浮きますからね。
⇒退職代行サービスの仕組み、流れ、値段、法的な問題などについて
ちなみに交渉事に発展すると、当然追加料金がかかる
弁護士のみに許された交渉ですが、当然ですが追加料金がかかります。
どれくらいかというと…まずホームページには「別途見積もり」として明記されてない事務所が多いです(怖い笑)
ただ先ほどご紹介したC法律事務所の場合は、
- 残業代、未払い給料、退職金、慰謝料などの回収金の20%(ただし最低報酬25万円)
となっています。
この価格が高いか安いかについては、相談者の状況によるでしょうね。
未払い金がたんまりたまっていたり、退職金がしっかりもらえそうなら得でしょう。
ただ合計金額が最低30万円ほどになるので、退職代行サービスの24000円(税込)という「かわいい価格」ではないことは確かです(笑)
あと、弁護士に退職代理を頼む場合は、無料相談できない事も多い
初めて退職代行をお願いするときって、自分の状況でも退職できるのかとか、今後どのような形で退職を進めるのかとか、退職後はどうなるのかとか、いろいろ心配事がありますよね。
「会社の人に○○って言われたけど…」「うちの会社では就業規則に○○って書いてあるんだけど…」などなど。
退職するときの不安って、個人によって様々です。
そして退職代行サービスの場合、事前にいくらでも匿名&無料で相談することができます。
ただし弁護士事務所の場合はそうはいきません。
先ほどご紹介したC法律事務所は30分のみ相談無料…でもこれはまだ良心的です。
退職代理を承っているN事務所の場合、「無料相談はしていないから、確実に辞めたいと思う人だけ連絡を」と書かれています(退職代行を受けている事務所は少ないので、すぐ見つかると思います)。
退職代行サービスを使った事がある私としては、30分はまだしも、相談前に退職代行サービスを使うかどうか決める事さえ難しいと思います。
そもそも私たちが自分で退職に踏み切れないのは、いろいろな心配事があるからですよね。
今抱えている問題から、退職した後の流れまですべて、30分で確認できるでしょうか。
時間切れになったら、追加料金を払うか、心配事を残したまま申し込むしかないのでしょうか。
それなら、まずは無料でゆっくり相談できる退職代行サービスに連絡して、退職代行の今後の流れがわかってから、弁護士に依頼するか代行業者に依頼するか決めるのもありだと思います。
まぁ、どちらにせよ退職はできるので安心してください。
以上が、弁護士さんに頼むメリットとデメリットでした。