会社に勤めていれば、定期的に給料が支払われるのは当然です。
しかし、中には経営や資金繰りの悪化で、給料が未払いになっているという人もいるでしょう。
また、残業代が未払いの場合も給料未払いに含まれます。
給料未払いの場合は、自分でどのように対応すればいいでしょうか?

なぜ、給料未払いが発生するのか


給料未払いというのは、本来であれば労働の対価として支払われるべき給料が、何らかの理由で支払われていない状態のことをいいます。
給料が未払いになる理由としては、どのようなことがあるのでしょうか?

まず、会社が経営不振に陥って、給料のための資金を調達することが出来なかったということが考えられます。
会社も、開き直って払えないものは仕方がない、と主張することもあるでしょう。

しかし、会社がどのような状態であっても、規定通りの給料を支払うのは会社の義務です。
労働基準法で定められているので、払えないは通用しないのです。

上記と似ている例で、小規模な会社にありがちなのがワンマン経営と、どんぶり勘定によるずさんな管理体制によって、給料が支払えないということもあります。
収入から給与分を取り除いておくことをせず、会社の都合で使ってしまうため、給料を支払うことが出来なくなるのです。

会社の一方的な都合で、支払われないケースもあります。
会社に損害を与えたから給与を支払うことが出来ない、退職した人に支払う給料はないなど、勝手なルールで支払わないのです。

まず、会社に損害を与えたのであれば損害賠償で請求するべきで、給与とは関係ありません。
会社で、勝手に損害賠償と相殺すると決めることもできません。
また、退職したとしても働いた分は支払わなくてはいけません。

たとえ、勝手に来なくなった、退職の際にしこりが残るような辞め方をしたなど、社会通念的に容認できない行動をした場合でも、働いたことがあるのなら働いた分は支払う必要があるのです。

最も悪質なのが、故意に給料の支払いをしていない場合です。
法律を逆手にとっていることが多いため、自分で対処することはもちろん経験が浅い社労士なども太刀打ちできないでしょう。

ちなみに、残業代も給与未払いの対象に含まれます。
給料も残業代も、支払うのは会社の義務です。
未払いのままにしていると、会社が罰則を受けることもあります。

自分で未払いの給料を請求するには?


未払いの給料を払ってもらうという当たり前のことなので、自分で会社に請求しようと思う人も多いでしょう。
自分で未払いの給料を請求する場合は何をすればいいのか、解説します。

まず、給料未払いであることを証明できる書類を用意しましょう。
必要な書類は、給与明細書、タイムカード等の労働時間が分かる書類、就業規則、勤怠表、給料が分かる資料、雇用契約書、労働の際に提出を義務付けられている書類、業務日誌の控えなどがあります。

自分で請求する場合、まずは訴えるのではなく会社と話し合いをしましょう。
この時、上司は未払いの件に関わっている可能性があるため、できれば社長などトップと直接交渉してください。

社長と直接交渉しても給料が未払いの場合は、直属の上司や他部署の上司も交えて社長と交渉してください。
信頼できる上司であれば、真摯に対応してくれるでしょう。

会社に書面で請求する際は、内容証明郵便で送るようにしてください。
受取履歴が残るため、受け取っていない、知らないは通じないのです。
ただし、手紙を送るだけで解決することはまずありません。

給料の未払いは労働基準法違反なので、所轄の労働基準監督署に申告することで労働基準監督署で調査を行い、給料の支払いを促してくれます。
申告の際は、未払い賃金額を算定する裏付けとなる資料を貼付しておけば、理解してもらいやすいでしょう。

会社が倒産状態の場合


会社の資金繰りが上手くいかずに倒産状態となっている場合は、給料を支払ってもらえる可能性が限りなく低くなります。
倒産状態の場合は、どうしたらいいのでしょうか?

まず、同じように給料が未払いとなっている従業員を集めて、労働組合を結成しましょう。
既にある場合は、加入でも構いません。

労働組合として行動すると、団体交渉権というものも手に入ります。
団体交渉権は、労働者が使用者と団体交渉ができると保障してくれる権利です。
個人で交渉するよりも、効果的に話し合うことが出来るでしょう。

会社がすでに倒産している場合は、政府が未払いの給料の最大8割を立て替えて支払ってくれる、未払賃金立替払制度が利用できます。
制度が利用できるかどうかは、労働基準監督署に相談しましょう。

また、給料の未払いは時効が3年と設定されています。
ちなみに、退職金は5年間です。
未払いのまま放置せず、時効になる前にきちんと請求してください。

弁護士に相談して取り戻そう


給料の未払い分の請求を自分で行うと、相手にされなかったり誤魔化されたり、あるいは証拠を捏造されたりすることもあり得ます。
取り戻す可能性を高くしたいのであれば、弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談するメリット


弁護士の中でも、特に労働問題に詳しい事務所を選ぶのがおすすめです。
経験豊富であれば、交渉もスムーズに進められるのです。
専門家なので、可能な限り希望に近い成果を引き出してくれるでしょう。

弁護士に依頼した場合は、必要な手続きや交渉を全て代行してくれるため、自分でやらなくてはいけないことはほとんどなくなります。
必要な証拠の収集などの法的な手続きも、代わりにやってもらえるでしょう。

給料や残業代の未払い分がどのくらいになるのかは、計算が非常に複雑です。
時には、会計士や社労士も計算を間違えるのです。
弁護士なら、正確に計算してくれるでしょう。

特に、証拠があまりそろわず経理も雑なケースや、既に倒産しているケースでは請求するのもかなり難しいでしょう。
未払いが得意な弁護士なら、豊富な経験があるためスムーズに手続きができるでしょう。

給料が未払いだと、実は遅延損害金が加算されます。
意外と知られていないため、未払い分の請求に加算していない人もいるでしょう。
弁護士なら、遅延損害金も忘れずに請求してくれます。

遅延損害金の計算も複雑で間違いやすいものですが、弁護士なら安心して任せることが出来るでしょう。
ただし、和解となった場合は遅延損害金が免除になることもあります。

未払いの給料があると証明するためには、様々な証拠が必要となります。
タイムカードや給与明細などが必要ですが、必ず集められるとは限りません。
しかし、弁護士に依頼している場合は、開示請求ができます。

給料の未払いの証拠は、会社にあります。
会社が隠している場合やすでに退職している場合は証拠集めが難しく、個人で開示するよう請求しても受け付けてくれないことがほとんどです。

弁護士なら、法的根拠によって開示請求をするため、応じざるを得ません。
もしも開示請求に応じないのであれば、民事訴訟などの手段も検討できます。
どのような形で解決するのか、弁護士とよく話し合って決めましょう。

まとめ


給料の未払いは、労働基準法違反になります。
労働基準法に親告することで支払うよう促してもらえるのですが、なかなか支払ってくれない会社も少なくありません。
自分で請求することも可能ですが、より確実を期すのであれば専門家である弁護士に依頼した方がいいでしょう。
特に、労務関係に強い弁護士なら経験も豊富なので、適切に対応してもらえます。