会社に勤めていると、その会社のルールがまるで法律のように感じてしまうこともあります。
同僚も上司も経営者も「それが当たり前だ!」と言うものだから、こちらも自信をもって「それは違うでしょ!」とは言えず…。

そんなとき、ぜひ労働基準監督署に相談してみてください。
この記事では、労働基準監督署に相談できること・できない事、具体的な相談の仕方、相談しても会社にばれないのか等を紹介します。

はじめに※労働基準監督署に申告してもバレないの?

もしかすると一番気になっていることかもしれないので、初めにご紹介します。
労基のシステムについては後で少し詳しく話すので、わからない部分は飛ばしてください。

 

まず労働基準監督署への相談は匿名で可能です。
しかし匿名の相談で労基が何か動いてくれることは、ほとんどありません。

そして証拠を集めて本格的に労基に指導を願う場合は、まず当然ですが私たちの名前は労基側に知られます。
とはいっても、労基が私たちの名前を会社に公表するわけではありません。

ですので、私たちの名前が労働基準監督署によって会社に通告されるわけではありません。

 

…が、労基に証拠として提出したデータが「ある個人」しか知らないものの場合は、会社側も相談者を特定することができるかもしれません。
それに(これから紹介しますが)労基の捜査はかなり大がかりで、逮捕、送検、差し押さえにまで発展するケースもあります。

なので経営者が労基に相談した人に恨みをもって、犯人捜しをすることもよくあります。

 

当然それらも録音するなりして労基に提出してやればいいのですが、

  • 「私はもう面倒なことは良いから、さっさと辞めたい」
  • 「別に会社を潰したいわけじゃなくて、私がただ退職できて、給料や残業代ももらえて、有給も消化できればそれでいい」

という方もいると思います。

 

そういう場合には、退職代行サービスに任せてしまったほうが楽で早いです。
退職代行サービスは、これまで退職を拒否されたことも、訴えられたこともありませんから。

⇒退職代行サービスの仕組み、流れ、値段、法的な問題などについて

 

これからも同じ職場で働きたい、でも今の会社の環境は変えてほしいという場合は、ばれる可能性を考えつつ労基へ相談するのが良いと思います。

労働基準監督署って何を相談できるの?

労働基準監督署という言葉自体は、聞いたことがある方も多いと思います。
人によっては「うちの会社に労基が入った」といった話や、大手の会社に労基が入ったニュースなどを耳にしたこともあるかもしれませんね。

中には労基とハローワークをごっちゃにしている方もいるそうですが、中身は全く違います。
労働基準監督署は各都道府県の労働局の下で、「労働条件の確保」「改善指導」「安全衛生の指導」「労災保険の給付」などを行っています。

 

では難しい話を置いて、具体的にどんなことを相談できるのでしょうか?
今回は職場の環境で悩んでいる方向けなので「労働条件の確保」について紹介すると、例えば以下の例などを相談できます。

  • 有給の消化について
  • 残業代や給料の未払いについて
  • ブラック企業に見られるような違法な長時間労働について
  • 不当解雇などの解雇問題について
  • 休日の量について

などです。

 

労働基準監督署はこのような労働関係の法律について最初の窓口となり、相談・申告された内容について必要であれば企業に対して調査や是正勧告(ちゃんと法律に基づいた対応をするように指導すること)、逮捕といった行動に移ります。

労働基準監督署には「労働基準監督官」という労働基準関係法令に基づいた、強制的に企業に立ち入り調査(臨検)する権限を持っている専門職員が在籍しています。
さらにこの労働基準監督官には、会社などに監督指導できる行政指導監督権限、法律違反を犯していることが分かれば逮捕・送検する権限を持ち、取調べや捜索差押を行うことのできる特別司法職員としての権限まで持ち合わせています。

 

だからこそ、会社はひどく労基に相談されることを嫌うわけです。
有給の消化、未払金、長時間労働、不当解雇等で悩んでいる人は、ぜひ労働基準監督署へ相談してみてください。

以下の記事も参考になるかもしれません。

逆に、労働基準監督署では対応が難しい内容は?

一方で、労働基準監督署は職場の環境すべてに対応してくれるわけではありません。
労働基準法違反には当たらないケースは、労基では対応できないんです。

具体的には

  • セクハラやパワハラなどモラルにかかわる問題
  • 性別を理由とした職場での嫌がらせや差別的待遇
  • 育児休業や介護休業の取得に関する問題
  • 退職届が受理されない事について
  • 退職の申し出を行うと、強い引き止めをされる事について
  • 損害賠償請求をしたい、もしくは損害賠償請求をすると脅迫された事について

などです。

 

こういった問題は労働基準監督署の上位機関にあたる、各都道府県に設置されている「労働局」に相談するのが適切ですね。
労働局では労働基準監督署では対応が難しい「違法なのかどうか判断が難しいトラブル」について、アドバイスや解決へ向けての方向性を示してもらうことができます。

また、以下の記事も参考になると思います。

実際に労基へ相談して対応してくれたケース、対応してくれなかったケース

これまで一般的なことについてご紹介しましたが、まぁ役所というのは公約通りに動いてくれないこともよくあります。
という事で、実際に労働基準監督署へ相談したことがある人に、当サイトで話を聞いてみました。

↓(枠の中をスクロールしてください)

労働基準監督署へ相談した理由は残業代未払いについてです。
働いている職場ではみなし残業がついておりそれ以上に残業した分については特に残業代が払われませんでした。

よって労働基準監督署に電話で相談したところ会社名と現場の状態については聞かれ、今後どのように動いてくださるのかまたそれ以上の詮索というものは特にありませんでした。
私一人ではあまり意味がなく複数名の承認が必要とも言われました。

タイムカードのコピーもあると伝えましたがそれだけではあまり効果はないという風にも言われました。
もちろん社内で協力者を仰ぐわけにもいかず現在も泣き寝入りの状態です。

結果的には何も改善されず何も起きずこれまでと一切変わりませんでした。
つまりはただの相談所のような太陽でありそれであればリスクを切る意味というものが全く身になさいません。

是正を訴えるためには何が必要でどんな条件があるのかその辺りを明確にして頂けるとより具体的に行動ができるように思います

 

 昔勤めていた会社が倒産する前に、給料の未払いが発生して、労働基準監督署へ相談に行ったことが有りましたが、その時点では、会社にはお金がないので、支払いは出来ませんでしたが、正式に会社が倒産してから、私たちが労働基準監督署へ歌えていたことにより、国の制度で、未払い給料の立ってかえ払いを労働基準監督署よりしてもらえたことが有ります。

会社とのトラブルがあると、労働基準監督署へ届けておくことにより、あとからトラブルになることがないようにしてくれるので安心だと思います、労働基準監督署は会社員や、作業者の見方なのです。
手続きは面倒なように思いますが、優しく指導してくれるので、とても良い所です。

未払だった給料も、一年くらいは掛かりましたが、一括して振り込んでいただけたので、当時はとても助かりました、しかし、全額ではありませんでしたが、年齢などにより、基準があるようで、私は満額に近くもらえたように思ていますが、若い人は少し思ったより少なかったようですが、労働基準監督署はいろいろな案件に対応してくれるところなのです。

 

 資格を持っていないのに重機を運転させられており、事故も起きていたので電話で通報しました。
匿名希望で通報しましたが、匿名だと後回しにされてしまうということで仕方なく名前を伝えました。

事故を起こしたのは誰か、責任者の名前は等簡単な質問に答えるだけで、それほど難しいことはありませんでした。
会社には資格を取らせるようにという電話だけしてくれたそうです。

実際に立入検査を行うとかはしてくれなかったです。
その電話の後は何人かは資格を取るようにと会社から指示が出て取りに行っていました。

しかし全員にはとらせてくれず、無免許運転は継続のままでした。
もう一つはサービス出勤について通報しました。

これは匿名希望で出しました。
そのせいなのか、対応したくれることはなかったです。

名前を出しているものでないと信憑性に欠けるということが理由だったそうです。
辞めてしまったので、そのあと対応があったかもしれませんが、まずあり得ないと思います。

 

 私の場合、平成元年4月1日から、4月30日までの1ヵ月間、「読売新聞」の西部開発本部の新聞拡張員として勤務しました。
入社する前、「最初の3ヵ月間」は、勤務成績に関わらず、1ヵ月16万円お支払いします。」という契約内容で会社の人事が説明しました。

しかし、実際に支給されたのは、「3千60円」という微々たる金額でした。
その当時、私も25歳と若く、何をしたらよいのか全くわかりませんでした。

その当時は、そのことを、契機に人間不信に陥り、猜疑心の渦中にいました。
たまたま、知人の人が、「労働基準監督署」に行って相談してみたらどうかというアドバイスを受け、そちらの専門の部署にその旨を説明すると、「名前の知られていない会社なので、手の打ちようがない。」とそこの職員から、罵声を浴びせられ、門前払いを受け、肩を落として帰るしかありませんでした。

私が思ったことは、行政というところは、「親方日の丸」という権力で、国民をいじめるという「血も涙もない」という「税金泥棒」でした。
最終的には、問題は解決できませんでした。

 

 就職して3カ月で給料が未払いになりオーナーに直で話しに行ったが、ない金は払えないと言われ労基に行きました。
相談に乗ってもらいまず電話での給料未払金の催促をしてもらい1週間待ってだめならまた来てくださいと言われました。

その間まだ就業していたのですがどうすればいいかも相談しましたが3カ月でその扱いは辞めた方がいいと言われ、退職。
一週間後やはり振り込まれていなかったのでまずオーナーと会い、労基から連絡行ったと思うのですが。と話すがやはりダメ。

それどころか警察の見回りをお願いする紙を発見(おそらく未払金の従業員に何かされるのではないのかと思って)してしまってそのままその事を労基に相談。
労基の方も苦笑いをし内容証明を送りましょう、と。これで過半数の会社は払ってくれるようになると。

内容証明を出し二週間後、まず給料の半分が振り込まれメールにてオーナーからの謝罪ともう半分は一週間後に振り込むとの連絡がきて無事問題は解決されました。
やはり労基は強いと感じました。

 

 退職した会社は、職後の書類(離職票、年金手帳)を1ヶ月経っても送ってくれませんでした。
あまりにも遅いので電話をしてみましたが「現在使われておりません」とアナウンスが流れました。

電話私が退職してすぐに急に会社を畳みました。
仕方がないので、ビルのオーナーさんに社長の自宅の電話番号を聞いて電話したところ、専務(社長の奥さん)がでて、社判を処分したので送れないとのことでした。

そういう経緯を労基に相談したところ、社長に直接電話をかけてくれました。
それから直ぐに到着しました。

社判がなかとたのではなかったのでしょうか?とにかく労基の方が電話してくれて直ぐ着いてよかったです。
何よりも、労基の方が私がそれまで継続して真面目に勤めていたことと、すぐに仕事を探す意欲があったことをとても評価してくださって、「こんな真面目な方に対してなんて会社なんだ」と味方になってくれたことが何より嬉しかったです。

書類を送ってきてくれなかった時は不安でしたが、労基は頼りになるとわかってよかったです。

 

 会社から残業代が出ないこと、健康診断がないことを労働基準監督署へ相談しました。
対応してくれた職員の方は、60代を過ぎている男性の職員でした。

会社の名前、残業時間などを聞かれました。私の勤務していた会社ではタイムカードがありませんでした。
職員の方は、 「タイムカードがないのでは証拠がないので、どうにもならない。会社と喧嘩してしまう。今求人も少ないし、次の仕事も決まっていないのならそのままの方がいいのでは?会社と喧嘩しても残業代が欲しいのなら、会社に残業代を出してくれと頼んでみたらいいんじゃない?健康診断については、自分で安いところ調べてやってみたら?」 と全く味方になってくれませんでした。

ただ、自分の愚痴を話しただけのようでした。 労働基準監督署は、労働者の味方になってくれて、的確なアドバイスをくれたり、会社へ注意してくれるところだと思っていたのですが、自分の想像していた機関ではなく、とてもショックを受けました。
もっと労働者を理解してくれるような機関があれば良いと思いました。

 

 私はパートで仕事をしています。
数年前に、パートの有給についてと最低賃金について、相談しました。

私の勤務先では有給はありませんでした。
そして、勤続年数にかかわらず時給は一律です。

最低賃金には達していませんでした。
それについて、法的にどうなっているのか?どういう問題があるのか?など、相談しました。

労働基準局の女性の方が、電話で対応してくれました。
有給は、パートでも勤続年数できちんと取れる日数はあるので、権利はある事!最低賃金は、現在この金額ですので、交渉する事!など、丁寧に教えてくださいましたが、最後の交渉は自分でやらなければいけないし、あとは勤務先次第と言う話でした。

結果、勤務先には時給のことは交渉しました。もちろん最低賃金にしないと法的に問題があるので、すぐに全員時給は最低賃金になりました。
が、どうしても有給のことは交渉できずにそのままになってしまいました。今年法律が改定されてパートでも有給を取れる?取らなければ罰金が課せられるということになったので、今年からは全員最低の5日間はもらえることになりました。

 

 以前、勤めていた中小企業では、世間でもよく問題となる残業代の未払いに近い制度設計となっていました。
所謂、裁量労働制を社員に適用するので、社員は自分の裁量内で働いて成果を上げろ!、残業という概念はない!とうものでした。

だが、実際には、上司の指示で仕事をすることになっていました。
おかしいと感じた私は、飯田橋の労基署に相談して、会社に直接の是正措置を求めました。程なくして、会社に検査が入って、偉い人達を集めてヒアリングや各種の資料提供を求めて、2、3日缶詰めになっていたように記憶しています。

最終的には、労基署から是正勧告?がなされ、残業代の支給が認められましたが、それでも会社は残業代の節約志向があったのか、勤務時間中での成果要求を強く求められて締め付けが一層、厳しさを増しました。
しかも、労基署に密告した私の噂が社内に知れ渡り、居心地が悪くなり、自主退職を選びました。

ただ、救われた社員の多くは心の底では少しは喜んでいると思います。
ホワイト企業で働きたいです。

 

 従業員数20名くらいの会社で、勤めていました。
交通費支給は「1万円まで」となっており、私はそれで4年ほど勤めていました(私の交通費は、1万円を超えていました)。

ですが、私の2年後に入った同僚社員は交通費が1万円以上にも関わらず、全額支給されているのを、ある日知りました。
社長に「私も交通費を全額支給してください」と訴えました。

この時点で全員の支給状況を調べられて、全員交通費支給が1万円までとなりました。
「あなたが訴えたせいで、交通費が減った人が出ましたね」と社長に言われ、社内にもこの言葉が伝わりました。社長のいい加減な指示が原因なのですが、私は会社に居ずらくなりました。

この時点で労働基準監督署に、電話で相談しました。
すると「一人だと立証が難しいので、何人か一緒に労働基準監督署に来てください。そうすれば、こちらもあなたの会社を調べられます。」との回答でした。

他の人を巻き込むのも悪いと思ったので、私はこの会社を「一身上の都合」で退職しました。

 

いかがでしょう?
このように労基は必ず行動してくれるわけではなく、ラジオのハガキのように”運が良ければ採用してもらえる”といった側面が結構あります。

また結局は自主退職することになる方も多いです。

 

「会社を変えたい!」というなら別ですが、「自分は貰えるものだけしっかり貰って、もう会社のことなんて知らないから早く転職したい」という場合は、やっぱり退職代行の方が楽ですね。
とくに退職代行サービスの中には労働組合スタイルで会社と交渉してくれるところもありますから、そういったところを利用すれば、貰えるものはしっかり貰えます。

労働基準監督署への相談の仕方

それでは具体的に、労働基準監督署に相談する方法を見ていきましょう。
「これはおかしいんじゃないの?」と思ったとき、いつ、どのような準備が必要かを紹介しますね。

まず労働基準監督署へ相談するタイミングですが、これはいつでもいいです。
ただ多くの人は、「もうその会社を辞めてやる!」と退職を決めてから相談される方が多いですね。

 

労働基準監督署へ相談方法ですが、まずはメールや電話で、私たちの今のケースが労働基準監督署で対応してもらえる問題なのかを相談しましょう。
相談は匿名でできますから、会社にばれることもありません。

この時点で労働基準監督署から適切なアドバイスがもらえて、そのまま私たち自身で解決できることもあります。
ただしメールや電話での相談はあくまでも「相談」なので、労基側は何か具体的な行動をとってくれるわけではありません。

 

特に匿名での通報だと、ほぼ100%動いてくれないです。
実際に個人名をだして証拠を提出するまでは、あくまでも一般的な相談です。

労働基準監督署に相談した結果、ここで対応してもらえる&私たちではどうしようもないと思ったときに、いよいよ労基へ向かいましょう。

いよいよ労基に申告!必要な持ち物、事前に集めておく物は?

話を聞いても私たちの会社が明らかに労働基準法違反をしていた場合は、最寄りの労働基準監督署へ行きましょう。
全国労働基準監督署の所在案内

窓口としては「方面」「監督課」「総合労働相談コーナー」いずれかに行くと良いです。

 

労基に相談する際は、事前に用意しておくといいものがいくつかあります。
要は「うちの会社は本当におかしいんですよ!」という証拠みたいなものですね。

証明できるものであればなんでもいいですが、例えば

【違法な長時間労働について相談する場合】

  • タイムカード
  • シフト表
  • 業務日誌
  • メールやFAXの送信記録

【給与や残業代の未払いについて相談する場合】

  • 賃金台帳(給与明細書)
  • 就業規則
  • 雇用契約書
  • 賃金規定

などです。

まぁこの辺りは事前に電話で聞くと良いですね。

労働基準監督署へ申告したその後は?

もし私たちの訴えで会社に違法行為があると考えられた場合は、「申告監督」といって監督官による監督が開始されます。
事実の確認のため、監督官よる立ち入り調査(臨検)が行われます。

次に会社と労働者の双方から事情聴取を行い、法令違反があるかどうかを判断します。
これにより労働基準法違反があると認められた場合には是正勧告を行い、違反とまでは言えない場合であっても指導票が出される場合があります。

 

是正勧告や指導票が出された場合には、会社は速やかに改善し、決められた期限までに改善報告を出さなければなりません。
再度の監督によっても改善が見られない場合には、特に悪質な場合には逮捕や書類送検、刑事罰を受けることもあります。

 

このように労基への相談はかなり効果があり、また大事に発展することもあります。
ただしそれらは全て会社側がルールを破ったのが悪いわけですから、我慢して働き続けるくらいなら是非相談してみてください。

(ただ単に未払金をもらって、有給を消化して退職したいだけなら、退職代行サービスをどうぞ)