イニシアティブを資質として身に付けている人が起業し、そこに才能や運気が伴うと、『カリスマ経営者』として成功するかもしれません。
優秀なビジネスマンと評価される人は、自分の行動を有利に導く、効果的なイニシアティブの取り方を心得ています。
イニシアティブは資質で決まると思い込んでいる人もいますが、世の中の優秀なビジネスマンのすべてがそうでしょうか?
現実的には、イニシアティブが取れる能力を持っているビジネスマンのほとんどが、自身の努力や訓練によって後から身に付けたスキルです。
今回はビジネスマンが課題解決のために、仕事を有利かつ効率的に進めるために、重要な要素と言われるイニシアティブについて解説します。
その内容はイニシアティブの意味や使い方、また似ている言葉・間違いやすい言葉などになります。
「イニシアティブ(イニシアチブ)」の意味とは?
英語の「initiative」からきているイニシアティブは、いろんな分野で幅広く使われている言葉です。
イニシアティブという言葉を使う場合は、よく後に『取る、発揮する、握る、持つ』などの言葉が続きますね。
日本で使われている意味を整理すると、大きく分けて「主導権」「率先・先導・自発的」「戦略・構想・計画」「国民発案」などの4つにまとめられます。
政治・経済・スポーツに限らず、社会全般で共通して使われている意味としては、「主導権」「率先・先導・自発的」になります。
その中でも最も一般的な使い方は、“中心となって物事を行なう”の意味の「主導権」になります。
また、「率先・先導・自発的」の意味をまとめると、“積極的な態度”として捉えることができます。
「戦略・構想・計画」の意味のイニシアティブは、英語圏の国で広く使われていますが、日本では主に政治やビジネス分野でよく使われていますね。
たとえば政治分野では、政府が『未来投資戦略』や『人生100年時代構想』のようなイニシアティブの取りかたをしています。
またビジネス分野では、企業が『経営戦略』や『新規事業計画』などを「戦略的イニシアティブ」として位置づけています。
「国民発案」の意味でのイニシアティブは、スイスやアメリカなどで行われる直接民主制の一形態になります。
日本においては、一定比率の有権者(住民)が地方条例の改正や制定を発案し、それを議会に付議することですが、詳細は後述します。
「戦略的イニシアティブ(イニシアチブ)」の意味とは?
「戦略的イニシアティブ」は主にビジネス分野で使われる言葉です。
その意味は政治分野と同様に、「戦略・構想・計画」などの意味で使われています。
具体的には『○○ホールディングスの10年後構想』『長期経営計画』『経営戦略』『新規事業計画』など、いわゆる企業政策の骨子になるものです。
企業の経営層が、これらの企業政策を社内・社外に向けてプレゼンすることを、「戦略的イニシアティブ」を発表すると言います。
企業の経営層は企業継続のため、現状の分析から将来を見据えた、適切な政策を適切な時期に打ち出すのが重要な役割になっています。
そのためのグループ戦略、営業政策、財務政策、人事政策などは、すべてこの「戦略的イニシアティブ」をベースにして組み立てられます。
企業にとっては将来の企業生命をかけた判断になり、間違った「戦略的イニシアティブ」になると、その後の将来に重大な影響が出てきます。
政策自体は立派な内容であっても、その内容が現状の企業が保持している企業力で実現可能なものであるのか、その判断にも難しさがあります。
歴史ある大企業が倒産の危機に陥る場合は、この「戦略的イニシアティブ」の政策内容やタイミングの失敗の場合がほとんどですね。
「イニシアティブ(イニシアチブ)ゲーム」の意味とは?
まずは本来の「イニシアティブゲーム」がどのようなものか説明しましょう。
基本的には野外での活動になりますが、数人から10人未満のグループでの行動になります。
そのグループに何らかの課題が与えられ、課題をメンバーが協力し合いながら解決していきます。
このゲームでは、課題の解決を正しく行なうことを求めているのではなく、本来の目的は活動の過程にあります。
グループで1つの課題に取組むことは、コミュニケーションが必要になり、自ずと協調性が生まれてきます。
また、自身や他の人の長所・短所を理解した上で、お互いにフォローし合うという仲間意識も生まれてきます。
では、ビジネス分野における「イニシアティブゲーム」とは、どのようなものなのでしょうか?
ビジネス分野での「イニシアティブゲーム」は、主に採用活動や企業研修などで行なわれています。
ほとんどは屋内で行なわれますが、時としては野外の場合もあります。
採用活動での目的は、採用対象者の「コミュニケーション能力」「協調性」「リーダーシップ」「積極性」などを推定するためです。
採用試験で何かの課題が与えられ、グループディスカッション形式で、それに対して議論するのはよくあるパターンです。
企業研修での目的は、社会と企業に対する順応性を高め、リーダーシップとメンバーシップを育成するのが目的になります。
具体的には、「仲間意識の向上」「協調性の維持」「コミュニケーション能力の向上」「達成することの喜び」などになりますね。
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「イニシアティブ(イニシアチブ)」の正しい使い方を例文で解説
ここからは、「イニシアティブ」の正しい使い方を例文付きで解説していきます。
今回は、以下の2つのシチュエーションを想定して、「イニシアティブ」の使い方を紹介していきます。
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①「主導権」という意味で使われるイニシアティブ(イニシアチブ)
物事を円滑に進める上で「主導権」を取ることは、有効な方法であることは皆さんもご存知ですね。
優秀なビジネスマンは、「主導権」をいかにして取るかを、事が始まる前に事前に準備しています。
シチュエーション
イニシアティブ?えーと、どういう意味だっけ?
わかりやすい意味に変換
グループディスカッションの必勝策は『主導権をとる』ことだ!
確かに、一番最初に発言した人がなんだかんだリーダーになるよね。
使い方の解説
就活のグループディスカッションや入社後のプレゼンや取引先との交渉において、「主導権」を取ることは重要な意味を持ちます。
「主導権」は成行きで取れるものではなく、どれだけ事前に準備しているかによって、その結果に違いが出てきます。
グループディスカッションなどで一番最初に発言しても、その裏付けとなる知識や情報、意見のまとめ方などが適切でないと、「主導権」は握れません。
「主導権」を握るポイントは、“正確な知識・情報に基づく内容”、“意見が簡潔明瞭”“メリットを強調”、“直接的な意思表現”になります。
②「積極的な態度」という意味で使われるイニシアティブ(イニシアチブ)
何らかの言動に対して積極的な態度を取ることは、その言動に対して賛成し協調しようと考えていることの表現になります。
逆に、何かの言動があってもリアクションが無いと、言動の発信者は中立もしくは反対の意見と考え、その言動に対しては消極的だと判断します。
シチュエーション
君には『イニシアティブ』が足りないよ。
イニシアティブ?この人は何を言っているのだろうか・・・。
わかりやすい意味に変換
君には『積極的な態度』が足りないよ。
すいません。少し失敗を恐れすぎていました。次からは気をつけます!
使い方の解説
人事考課の項目は大別すると『業績考課』『能力考課』『情意考課』の3つに区分されます。
「積極的な態度」はこの中の行動や態度に関する情意考課に入ります。
自分の意思をうまく表現できない人は、ビジネスマンとして重要なスキルが欠けているとみなされても仕方がありません。
何らかの言動に対して、賛同できない場合は別にして、少なくとも賛同できる場合には、その意思を明確に言葉と行動で示すべきです。
何らかの行動を起こす時、上司は部下の、部下は上司のリアクションを見ながら、次の行動を決めていきますね。
「イニシアティブ(イニシアチブ)」と似ている言葉・間違いやすい言葉
「イニシアティブ」とよく混同して使われる言葉に、「リーダーシップ」があります。
「リーダーシップ」には「イニシアティブ」と明確に違う点があり、その使い分けには注意が必要です。
また「イニシアティブ」は使われる分野によって、違う意味として使う場合もあります。
特に政治分野やスポーツ分野においては、一般的な使い方もありますが、その分野独特の使い方もあります。
以下でその違いを解説しますので、その意味の違いをきちんと理解してください。
「イニシアティブ(イニシアチブ)」と「リーダーシップ」の違いとは?
少し抽象的な言い方になりますが、簡潔に表現すると以下のようになります。
- “リーダーシップは気持ちが外向きに働き、イニシアティブはまず内向きの気持ちから始まる”
- “リーダーシップは人を動かすことに意義があり、イニシアティブは自ら行動することに意義がある”
具体的に解説しましょう。
「イニシアティブ」の一般的な意味は「主導権」「率先・先導・自発的」になります。
これらの意味は、“課題に対する行動の主体は自分であり、他の人より率先し自発的に考え・行動することで主導権を得る”、と考えることができます。
つまり、自ら行動することが主目的であり、少なくとも初動の段階では、他の人を統率したり指導したりする目的はありません。
一方の「リーダーシップ」には2つの種類があります。
1つは「役割としてのリーダーシップ」で、管理職のようにチーム内で権限や責任が与えられ、職務として部下を統率・指導するべき役割になります。
もう1つは「自然発生的なリーダーシップ」で、明確な権限や責任はありませんが、本人の意識とメンバーの了承によってリーダーと認識されるものです。
ある意味では、「イニシアティブ」の取れる人が、自然発生的に「リーダーシップ」を取れるようにる、と言うことができます。
「リーダーシップ」を発揮するには、以下のような要素が必要とされています。
- 1.課題全体の難易度及び個人別課題の調整を行なう
- 2.効率よく行動できる環境を作る
- 3.メンバーに課題達成の成果を具体的なイメージとして持たせる
つまり「リーダーシップ」とは、達成すべき課題に対して、メンバーを統率・指導し、無駄なく効率的に行動させる意識と環境を作り上げることだと言えますね。
「政治分野におけるイニシアティブ(イニシアチブ)」の意味とは?
政治分野においても、イニシアティブの一般的な意味である、「主導権」「率先・先導・自発的」のような使い方はもちろんあります。
しかし具体的な文言としては、「戦略・構想・計画」といった言葉に変わる場合が多く、たとえば以下のような使い方になります。
- “核廃絶のために日本が国連でイニシアティブを取る”
- “温暖化対策として政府が各分野にイニシアティブを発揮し、具体的な計画を練る”
- “日本の将来の経済基盤確保のため、政府のイニシアティブで官民一体となった投資戦略を検討・実施する”
- “政府がイニシアティブを持ち、人生100年時代に向けて、あるべき日本社会を構想する”
政治分野においては、イニシアティブにもう1つの意味があります。
前述もしましたが、直接民主制の一形態としての「国民発案」という制度で、一定比率の国民(住民)が法律の改正や制定を発案できる制度です。
「国民発案」には『直接発案』と『間接発案』がありますが、『直接発案』はその案を直接国民(住民)投票で決定するものです。
『間接発案』は案をまず議会に付議し、審議で否決された場合は、国民(住民)投票で決します。
「国民発案」には国政レベルと地方レベルがありますが、日本では地方自治法のレベルにとどまり、議会審議で決定し住民投票までは制定されていません。
「スポーツ分野におけるイニシアティブ(イニシアチブ)」の意味とは?
スポーツ分野で使われるイニシアティブの意味は、一般的な「主導権」という意味から派生して、「有利な」とか「優勢な」という意味で使われています。
たとえば言い回しとして、“イニシアティブを取っている”とか“イニシアティブを取られている”とかの表現になります。
名詞的な意味ではなく形容詞的な意味合いで、「有利・不利」や「優勢・劣勢」の状況を、イニシアティブを取る・取られるという言葉で表現します。
具体的なシチュエーションで説明してみましょう。
イニシアティブを取っている状況としては、サッカーで相手コートでの試合運びが多かったり、ボールの支配率が高くシュート数も味方が上回っている場合です。
またボクシングでは、ダウンまでは奪えていませんが、的確にパンチをヒットさせ、自分の間合いで試合が進行している場合です。
逆に、イニシアティブを取られている状況は、サッカーで相手から攻め込まれ、防御主体の試合展開になっている状況です。
ボクシングでは、的確なパンチがヒットせず、逆に相手の的確なパンチを受け、ダウンこそしていないものの、ラウンドごとの採点で差がつくような場合です。
まとめ
ビジネスシーンでの「イニシアティブ(イニシアチブ)」な言動は、発想が主体的で行動が能動的でなければなりません。
これは現在の一般的な若者に、最も不足していると言われる特徴になります。
個人のプライベート部分での言動まで、とやかく言う気持ちは毛頭ありません。
しかし、少なくてもビジネスシーンにおいては、「イニシアティブ(イニシアチブ)」の取れるビジネスマンであってほしいものです。
⇒もっとビジネス用語を知りたいという方向けにビジネス用語が学べるおすすめの本5選を紹介しています。
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