失業や収入減が訪れると、生活費の節約だけでなく「毎月必ず出ていく固定費の見直し」が急務になります。
中でも見落としがちなのが、生命保険や医療保険などの保険料です。
「万が一に備えて」と思っていた保険が、今は“負担”になっていませんか?
本当に必要な保障だけを厳選し、掛け捨て型(定期型)に見直すことで、家計への圧迫を和らげつつ、いざというときの安心感も確保できます。
今回は、最新データと具体例をもとに、失業中の保険見直し術を徹底解説します。
目次
保険の現状と家計への影響をデータで知る
まず、日本の家庭がどれだけ保険にお金をかけているかを見てみましょう。
日本の平均的な保険料支出(2023年 生命保険文化センター調査)
項目 | 月額(世帯平均) | 年間(世帯平均) | 加入率 |
---|---|---|---|
生命保険 | 13,512円 | 162,144円 | 88.1% |
医療保険 | 7,250円 | 87,000円 | 82.0% |
がん保険 | 2,300円 | 27,600円 | 68.4% |
個人年金保険 | 4,508円 | 54,096円 | 38.7% |
合計 | 27,570円 | 330,840円 | ― |
1世帯あたり月2万7,000円以上が「保険料」で消えています。失業時は大きな負担に。
失業中こそ「保険の目的と必要性」を再確認しよう
-
保険は“万が一”のためのもの
-
ただし、「今の生活を守る」のが最優先の時期に「高額な保険」を続けるべきか?
-
「公的保障(健康保険・高額療養費制度・雇用保険など)」でカバーできる部分も多い
公的保障と民間保険の違い
保障内容 | 公的制度 | 民間保険で補うべき例 |
---|---|---|
医療費 | 健康保険+高額療養費制度 | 入院時の差額ベッド代・先進医療費 |
死亡時の遺族保障 | 遺族年金 | 残された家族の生活費 |
失業時の所得補償 | 雇用保険(失業給付) | 就業不能保険・所得補償保険 |
老後の年金 | 国民年金・厚生年金 | 私的年金保険 |
「二重の安心」ではなく「本当に必要な分だけ」を見直すのが節約のコツです。
保険見直しの実践ステップ
1. 現在加入中の保険を全てリストアップ
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保障内容(月額・年額・特約・受取人・保障期間)を一覧化
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保険証券やマイページ、銀行口座・クレジット明細をチェック
2. 不要な特約やダブり保障の洗い出し
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死亡保障が二重・三重にかかっていないか?
-
医療保険の「通院特約」「先進医療特約」など使わない保障が高額でないか?
3. 必要最低限だけ残し、高額な終身型・貯蓄型→掛け捨て型(定期型)に切り替える
掛け捨て型(定期型)保険のメリット
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月額保険料が非常に安い(例:死亡保険1,000万円で月1,000円前後も)
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保険期間を「失業~再就職」など必要な期間だけ設定できる
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「貯蓄機能」や「満期金」がない分、シンプルで家計に優しい
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必要に応じて「医療・がん・就業不能」などだけピンポイントでカバーできる
掛け捨て型・終身型の保険料比較
保険種類 | 掛け捨て型(定期型) | 終身型 |
---|---|---|
生命保険(30歳男性・1,000万円保障) | 900円/月 | 7,000円/月 |
医療保険(入院1日5,000円) | 1,000円/月 | 3,500円/月 |
がん保険 | 1,200円/月 | 2,800円/月 |
見直しだけで、月1万円以上の節約になるケースも多いのです。
ケース別・保険の見直しシミュレーション
シングル・子なし世帯
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死亡保障:原則不要 or 最低限(葬儀費用のみカバー)
-
医療保障:公的制度+掛け捨て型で十分
-
がん保険:不安な場合のみシンプルな掛け捨て型
項目 | 見直し前(月額) | 見直し後(月額) | 月間削減額 | 年間削減額 |
---|---|---|---|---|
生命保険 | 7,000 | 0 | 7,000 | 84,000 |
医療保険 | 3,500 | 1,000 | 2,500 | 30,000 |
合計 | 10,500 | 1,000 | 9,500 | 114,000 |
夫婦・子どもあり世帯
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死亡保障:一家の大黒柱のみ必要最小限残す
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医療・がん:公的制度+必要なら掛け捨て型でピンポイント補強
項目 | 見直し前(月額) | 見直し後(月額) | 月間削減額 | 年間削減額 |
---|---|---|---|---|
生命保険 | 15,000 | 3,000 | 12,000 | 144,000 |
医療保険 | 8,000 | 2,000 | 6,000 | 72,000 |
がん保険 | 2,800 | 1,200 | 1,600 | 19,200 |
合計 | 25,800 | 6,200 | 19,600 | 235,200 |
公的医療保障・失業時の活用ポイント
-
高額療養費制度: 医療費自己負担は月8万円台で頭打ち
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傷病手当金・失業給付: 会社都合の退職なら最短7日で給付開始
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国民健康保険料の減免・納付猶予申請も可能
公的保障名 | 内容・給付額 |
---|---|
高額療養費制度 | 月8万~15万円上限で自己負担ストップ |
傷病手当金 | 収入の2/3程度を最長1年半支給 |
雇用保険(失業給付) | 退職理由・年齢・勤続年数で給付期間と金額変動 |
保険の見直しは「解約」だけじゃない!一時払・減額・払い済みも選択肢
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一時払い(前納)や「払い済み」への変更で保険料負担ゼロに
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**減額請求(保障額を減らして保険料を下げる)**も可能
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家族全体の保険料を合算し、重複分を徹底的に整理する
見直し後の“安心家計”シミュレーション
節約パターン | 月間節約額 | 年間節約額 | 浮いたお金の使いみち例 |
---|---|---|---|
掛け捨て型移行のみ | 7,000 | 84,000 | 家賃・食費・光熱費の補助 |
全解約+最低限公的保障利用 | 15,000 | 180,000 | 生活防衛資金、資格取得、転職活動費用 |
大きな金額を家計に取り戻すことで、「暮らしの安心」も確保できます。
保険見直しの注意点とポイント
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途中解約には「解約返戻金」「損失」が発生するケースもあるので必ず事前確認
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見直し後に新規加入する場合は健康状態や年齢条件に注意
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勧誘や不要な再契約に惑わされず、「今の家計を守る」が最優先
無収入時におすすめ!保険料節約アイデアまとめ
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「家族に万一のことが起きたら、最低いくらあれば安心か?」をリアルに計算
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公的制度でカバーできる分は民間保険を思い切って減額・解約
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「掛け捨て型+最低限の補償」に一本化し、月額1,000~2,000円で大きな安心
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余裕が出たら再就職後に保障を見直して再検討すればOK
まとめ:保険は“人生のフェーズで最適化”するのが家計防衛のカギ
失業中は「もしものとき」より「いま生活を守ること」を最優先に。
・保険は必要最小限+掛け捨て型でコストカット
・浮いたお金は生活費や再スタート資金に確保
・公的制度もフル活用して「重複払い」をゼロに
「家計にムダがないか?」をこのタイミングで見直し、
“守るべきもの”だけを残すことが、再スタートの最大の武器になります。

株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

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