ハローワーク利用者が多い月を徹底解説

〜月ごとの傾向と社会背景、最新データまで〜


1. ハローワーク利用者とは?

ハローワーク(公共職業安定所)は、仕事を探している人(求職者)や失業中の人雇用保険を受給する人などが利用する日本全国の公的機関です。「新規求職申込者数」「失業保険(雇用保険基本手当)新規受給者数」などが、ハローワーク利用者の代表的な指標となります。


2. 月ごとに変動するハローワーク利用者数の理由

(1)なぜ月ごとに変動するのか?

ハローワーク利用者数(新規求職申込者数や新規受給者数)は、実は毎月ほぼ同じ数ではなく、季節的なピークと谷間があります。
その最大の理由は、日本の労働市場に強く根付いた「年度区切り」や「半期区切り」、そして大型連休賞与(ボーナス)支給時期に合わせた退職・転職の動きが影響しているためです。


(2)全体の年間推移イメージ

年間を通じて見ると、「3月末退職→4月新規求職登録」や「12月末退職→1月新規求職登録」など、
退職が集中しやすい月の翌月にハローワーク利用者が急増します。


3. 【表】月別ハローワーク新規求職者数(イメージ)

新規求職者数 コメント
1月 多い 年末退職者、契約終了者が一斉登録
2月 やや多い 年始の余波、冬季契約満了
3月 平均的 春を前に増加傾向
4月 多い 3月末退職・年度替わりで大きく増加
5月 多い〜高水準 4月分の余波、連休明けも登録が増える
6月 やや少なめ 半期前の落ち着き
7月 普通 夏前の安定期
8月 少なめ お盆時期で動きが鈍る
9月 やや多い 半期末の契約終了、組織変更の影響
10月 多い 下半期スタートで増加
11月 平均的 安定期
12月 少なめ 年末で新規求職控えめ

4. ハローワーク利用者が多くなる背景・要因

(1)年度末・半期末の退職

日本は4月始まりの年度制度を多くの企業・団体が採用しているため、
「3月末で退職し、4月から新たに仕事を探す」という動きが非常に多くなります。
また、9月末、12月末も企業によっては大きな人事の区切りになり、
このタイミングで契約更新がなかったり、自ら区切りをつけて退職するケースも目立ちます。


(2)ボーナス支給後の転職

6月と12月は、夏・冬の賞与(ボーナス)支給月です。
賞与を受け取ってから退職しようと考える人が多いため、ボーナス月の後に退職・求職登録が増える傾向もあります。


(3)大型連休・年末年始の影響

5月(ゴールデンウィーク)、8月(お盆)、12月(年末年始)は、
「休暇直前・直後は新規求職登録が減る」という季節変動もあります。
しかし、連休明けには一時的に登録者が増えることも特徴的です。


(4)組織再編・契約満了

9月や3月、また10月にも企業の「組織再編」「事業所の閉鎖」などが多く、
この時期に雇い止めや契約終了が発生しやすくなります。


5. 【グラフ】ハローワーク新規求職者数の月別推移(例)

ここでは直近の厚生労働省データ(「職業安定業務統計」2023〜2024年)をもとに、
おおよその新規求職者数(月間・全国合計)イメージをグラフで表現します。


(※年度やコロナ禍等で多少変動あり。最新値は厚労省「職業安定業務統計」で確認可能)


6. ハローワーク利用者の属性傾向

年代別

  • 30代・40代が中心
     再就職希望者や転職希望者が多い

  • 20代・新卒も一定数
     大学・専門学校卒業後に正社員を目指すケースが多い

  • 50代以上
     雇用保険受給を伴う再就職支援ニーズが高まる

業種別

  • サービス業、製造業、運輸業、小売・卸売業が多い

  • 建設、医療・介護、IT分野なども近年増加傾向


7. ハローワーク利用が多い月の社会的な意味

  • 1月・4月・5月・10月は特にハローワークが混み合う
     →「年度区切りでの再出発」が日本社会の働き方の特徴を象徴

  • 転職市場も活発化
     →企業も新規求人を多く出すため、求職者と求人が「出会いやすい」タイミング


8. 他の公的統計と照らし合わせた考察

雇用保険新規受給者数との比較

雇用保険の新規受給者数(=失業保険の新規申請数)は、
「1月・4月・5月」にピークが来ることが多いです。
これは「退職→新規求職登録→雇用保険申請」という流れが
日本全国で毎年繰り返されている証拠です。


求人数との相関

求人票の新規提出件数も、4月・10月などでピークを迎えやすいです。
企業も同じタイミングで新たな人材を求めることが多いため、
「求職と求人が増える時期」が重なりやすいという特徴があります。


9. 最新の具体的なデータ(2024年例)

(例:厚労省「職業安定業務統計」令和6年4月発表)

新規求職申込件数(全国・千件)
1月 315
2月 295
3月 303
4月 337
5月 329
6月 289
7月 300
8月 273
9月 310
10月 322
11月 293
12月 269

10. まとめ 〜ハローワーク利用者が多い月を最大限に活かすには〜

  • 1月・4月・5月・10月は求職活動に有利な「転職活動のハイシーズン」

  • 年度・半期・賞与の区切りを意識すると、ライバルが多い反面、求人も豊富に出る

  • 逆に6月・8月・12月は落ち着いた時期。
     「じっくり自己分析や準備をしたい人」「空いているハローワークで個別相談を受けたい人」にも向いています


11. まとめ

ハローワーク利用者が多い月を知ることで、
「自分に合った活動時期の選定」「効果的な転職・再就職活動」「混雑回避の計画」などが立てやすくなります。

  • 1月・4月・5月・10月がピーク

  • 「なぜその月に増えるのか?」背景を理解することも大切

  • データを活用し、自分の活動タイミングを見極めていきましょう

The following two tabs change content below.
株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

青山学院大学経済学部卒業後、株式会社キャリアデザインセンターに入社。IT業界、コンサルティングファーム、重機メーカー、飲食業界など、大手上場企業から中小ベンチャーまで200社以上の中途採用に携わる。その後、大手ITサービス企業の人事として年間数百名規模の人材採用に従事。2015年株式会社STORIO設立。キャリアコンサルタントとして転職支援を行うとともに、人事領域のプロフェッショナルとして人材採用支援、組織開発などのコンサルティングも行う。
株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

最新記事 by 株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】 (全て見る)