ブランクありでも大丈夫!看護師に強い復職先の選び方と注意点

目次

もう一度“あなたらしく”働ける看護師復職先の選び方と注意点

もしかしたら今、あなたは「もう一度、看護師として働きたいけれど、ブランクが心配…」と、
心のどこかでモヤモヤした気持ちを抱えているのではないでしょうか?

出産や育児、家族の介護、自分自身の体調や気持ちの問題…。
人生のなかで“立ち止まる瞬間”は、どんな方にもあります。
決して、あなたが特別弱いわけでも、能力が足りないわけでもありません。
その時間も、きっと大切な意味があったはずです。

私自身、現場で多くのブランク明け看護師さんと出会ってきました。
みなさん、最初は「ちゃんと働けるかな…」「昔と今は違うのかな…」と不安げでした。
でも、「勇気を出してよかった」「自分にしかできない看護があった」――
そんな声をたくさん聞いてきました。

このガイドは、「看護師として再び羽ばたきたいあなたのためのエール」です。
最新データ、リアルな体験談、実際の成功例や失敗談
そして、現役看護師・復職支援スタッフ・病院人事担当者の“生の声”もたくさんお届けします。

読み終えたあと、「自分も一歩踏み出してみようかな
そう思える力になれたら嬉しいです。


第1章 ブランク看護師さんの“いま”と社会のニーズ

「潜在看護師」は約41万人――今、あなたが求められています

突然ですが、「潜在看護師」という言葉、ご存知でしょうか?
これは「看護師資格はあるけれど、今は現場で働いていない方」を指します。
全国で約41万人もいるんです。

データで見る“看護師のブランク”

年度 看護師免許保持者 現役就業者 潜在看護師 年間復職者
2015 1,550,000人 1,200,000人 350,000人 27,000人
2020 1,740,000人 1,390,000人 350,000人 37,000人
2023 1,860,000人 1,450,000人 410,000人 42,000人

出典:厚労省「看護職員就業状況等実態調査」

今、全国で「ブランクがある看護師さんの力」が本当に求められています。
たとえば――

  • 地方や小規模病院、介護・福祉現場、訪問看護…現場はどこも慢性的な人手不足

  • 産休・育休で抜けた分のフォローが必要な職場も多いです。

  • そして、復職を希望する方を支援する仕組みがどんどん増えているのです。

ブランク=ハンデと感じる方が多いのですが、
実は“今こそ戻ってきてほしい”という温かな視線がたくさんあるんです。


第2章 みんなが感じる不安と、ちょっとした「本音」

「私だけ?」じゃない。みんな同じところで悩みます

久しぶりの現場復帰を考えると、
不安や戸惑いがたくさん浮かんできますよね。
それは、あなた一人ではありません

ブランク明け看護師さんの悩みランキング(複数回答)

不安・悩み 割合(%)
医療技術・知識の遅れ 68.4
職場の人間関係 64.1
体力・勤務ペースへの不安 58.7
家庭との両立 54.2
面接・書類でのブランク説明 41.6
パートや時短希望が叶うか 39.8
年齢によるハードル 36.5
最新ICT機器(電子カルテ等)対応 29.7
感染症対策など新しい業務内容 22.5

出典:日本看護協会アンケート2023

「医療現場が変わったらついていけないかも」「人間関係がうまくいくかな」
――こんな思い、本当に多くの方が口にされます。
「ブランク期間が長い=採用されにくい?」
「年齢的に厳しい?」
「時短やパート希望は迷惑?」
全部、“あるある”な悩みです。

でも、ここで少し視点を変えてみましょう。
今、医療現場や社会全体が「復職者支援」に本気で取り組んでいます。
あなたの“やり直したい”気持ちこそ、一番大事なことなんです。


第3章 実は“ブランク大歓迎”な職場が増えています

復職しやすい職場の特徴を知ろう

どんな職場なら安心して復職できるの?
実際にブランク明け歓迎の求人が多い職場を一覧にまとめました。

職場タイプ 特徴・メリット デメリット・注意点
一般病院(中小規模) 教育体制が手厚い/フォロー体制あり 忙しいと人手不足に巻き込まれやすい
クリニック・診療所 業務が限定的/時短・パート求人が多い/人間関係が近い 少人数なので“合う合わない”が出やすい
老人ホーム・介護施設 業務ペースが穏やか/シフト融通が利きやすい 医療処置は少なめ
訪問看護ステーション 時短可/直行直帰OK/利用者と深く関われる 一人対応や自家用車運転必須なことも
保育園・学校・企業の医務室 日勤のみ/仕事内容が明確/土日休み多い 求人数自体が少なめ
健診センター 定時/医療リスクが低め/チームワーク重視 繁忙期は体力的に大変な場合も
公的な復職支援施設 研修付き/“仲間”ができる/短期就労も可能 一時的な雇用が多い

ここで大事なのは、あなた自身の「ライフスタイル」や「希望条件」を大切にすること。
「夜勤はもう無理だけど日勤なら」「まずはパートから始めたい」
――そんな希望を、遠慮なく伝えていい時代です。


第4章 実際の復職先選びで絶対に見てほしいポイント

【1】教育・研修体制の充実

「ブランク明け歓迎」の求人でも、研修やOJT(現場同行)体制が整っているかは絶対に確認しましょう。

教育・研修体制チェックリスト

項目 ポイント
復職者向けの特別研修 実技講習・接遇研修・eラーニングなど
OJT・現場同行 マンツーマン指導/定期面談
勉強会・外部研修 外部セミナー参加補助/自己研鑽応援

「現場の雰囲気」や「プリセプター(指導者)制度」の有無も大切。
気になる求人は職場見学を申し込むと、雰囲気がよく分かりますよ。


【2】働き方の柔軟さと“自分軸”の大切さ

「家庭との両立」「夜勤NG」「週2〜3日希望」
こうした働き方の多様性を受け入れる職場が急増中です。

勤務形態 復職歓迎求人の割合(2023年)
日勤のみ 45%
夜勤専従 12%
パート・時短 54%
正職員 35%

最初から常勤じゃなくても大丈夫。
「最初は午前中パートから」「半年後にフルタイムへ」
そんな柔軟な復帰パターンがたくさんあります。


【3】復職者の在籍率・実際の雰囲気

“復職者が多い職場”は、それだけサポート体制が充実しています。
「ブランク明けの方が全体の20%」「ママナースが半数以上」など、
求人票や職場ホームページの「先輩の声」も参考になります。


【4】無理せず「小さな一歩」から始める勇気

ブランク明けのスタートは、不安があって当たり前。
「完璧じゃなくていい」「少しずつ慣れる」
そんな姿勢で、まずは小さな一歩から始めてみましょう。


第5章 失敗しない復職活動のための【実践ロードマップ】

Step1:情報収集と自己分析

  • 復職支援サイトやハローワーク、ナースセンターの活用

  • **“どんな働き方が理想?”“自分にできそうな業務範囲は?”**を整理

  • 家族の協力体制やサポートも相談しておく

Step2:支援制度・研修に参加する

主な支援制度・研修まとめ

支援制度 内容 申込・相談先
各都道府県ナースセンター 復職講習・個別相談・求人紹介 ナースセンターHP等
日本看護協会・地方看護協会 オンライン研修・勉強会 日本看護協会HP
病院独自の研修 実技指導・シミュレーション 求人・面接時に要確認
オンライン学習サービス 看護手技動画・最新情報 YouTube・ナーシングナウ等

支援制度は“複数組み合わせて使う”のがオススメ。
不安なスキルや苦手分野は、まず研修で“リハビリ”してから現場へGO!


Step3:履歴書・職務経歴書のポイント

  • 「ブランク期間の理由」は、正直に・前向きに

  • 「復職への思い」「これまでの看護経験」をしっかりアピール

  • 面接前に「看護業界の最新トピック」も軽くチェック

志望動機の例(寄り添いアレンジ)

「長く現場を離れていましたが、やはり看護の仕事への想いが強くなり、復職を決意しました。貴院は復職者支援が手厚く、また子育て中の方も多く活躍されていると伺い、自分も安心して働けると感じています。ブランクの間も看護の勉強を続け、地域活動などでも人と関わる経験を積んできました。自分のペースで慣れながら、患者さまに寄り添う看護を提供したいです。」


Step4:面接での“伝え方”のコツ

  • 緊張しなくて大丈夫!面接官もブランク明けの不安はよく知っています

  • 「何が不安か」を正直に伝え、サポート体制について質問してOK

  • 子育てや介護で得た“強み”もアピールポイント

面接でよくある質問と答え方

質問内容 ポイント
ブランクの理由を教えて下さい 正直+前向きに
復職後、不安なことは? 「最新業務」など素直に
どんな働き方が希望ですか? 具体的に伝えてOK
今後のキャリア目標は? 「まずは復職に慣れる」など現実的で◎

第6章 「ブランク明けでも大丈夫だった」リアル体験談集

ケース1:育児ブランク7年→クリニック午前パートで復職

Aさん(38歳女性)

「子供が小学校に上がり、午前だけパートで復帰。
最初は採血もドキドキでしたが、先生や先輩が毎日“おかえり”って迎えてくれました。
“分からないことは何度でも聞いて”と言われて、気持ちが軽くなりました。
3ヶ月で体も感覚も少しずつ戻り、半年後には午後パートにもチャレンジできました。」

ケース2:50代・親の介護で10年離職→病院の日勤常勤へ

Bさん(52歳女性)

「介護が落ち着き、ナースセンターの復職研修に参加。
“年齢もブランクも関係ないよ”と講師や同期に励まされ、
面接では家族のサポートもアピールポイントにしました。
最初は“点滴の手順”や“電子カルテ”に戸惑いましたが、
“苦手な分野はチームでカバーすればいい”と言ってくれる職場で、安心して復帰できました。」


ケース3:30代・燃え尽き症候群→高齢者施設で再スタート

Cさん(35歳女性)

「急性期病棟で心身ともに限界…一度辞めてパートで働くことに。
高齢者施設は医療処置が少なく、“寄り添う看護”が中心。
利用者さんやご家族と深く関われて、“看護ってやっぱり素敵だな”と再発見できました。」


第7章 「ブランク明けに失敗しない」ための注意点とアドバイス

1. 「理想を全部叶えよう」と気負わない

  • 最初からフルタイムや夜勤までこなそうとせず、「できる範囲から」始めましょう。

  • 職場との相性や働き方も、途中で変更してOKです。

2. 周囲のサポートは遠慮なく頼る

  • 「家族の協力がなければ現場復帰はできなかった」という声が多数。

  • 地域のファミリーサポートや一時保育なども活用しましょう。

3. 「不安」はみんな同じ。ひとりで抱え込まないで

  • 同じ悩みを持つ“仲間”が必ずいます。ナースセンターやSNS、勉強会などで横のつながりを作るのも大切。

  • 職場の先輩も、最初はみんな“新米”だったことを忘れないでください。

4. 小さな成功体験を大事に

  • 「患者さんに“ありがとう”と言われた」

  • 「苦手だった業務が一つできるようになった」
    そんな一歩一歩が、大きな自信につながります。


第8章 自治体・病院・民間の支援策をフル活用しよう

【都道府県ナースセンター】

  • 無料・低料金の復職支援講座や相談会

  • 個別相談、求人紹介、面接対策、現場体験会など

【日本看護協会や自治体のオンライン研修】

  • スマホやPCでスキマ時間に勉強できる

  • 最新医療知識、電子カルテ操作などにも対応

【病院独自の復職支援】

  • 研修・OJT、シミュレーションルームの活用

  • 先輩復職ナースの「メンタルサポーター」制度

【民間の看護師専門転職エージェント】

  • ブランクOKの求人情報多数

  • 条件交渉、職場見学サポート、面接練習など


第9章 Q&Aコーナー:よくある「不安」と回答

Q. ブランクが10年以上あるけど、現場に戻れますか?

A. 大丈夫です!
実際、10年以上のブランクから復職した方も多数います。
都道府県ナースセンターなどが主催する復職支援講座でも、
「20年ぶり」「30年ぶり」という方が必ず毎年参加されています。

Q. 年齢制限はあるの?

A. 年齢よりも“人柄と意欲”重視です。
40代・50代・60代から再スタートした方も本当にたくさんいらっしゃいます。

Q. “新しい医療技術”についていけるか不安…

A. 研修やOJT、eラーニングなどで一から学び直せます。
職場も「分からないことはどんどん聞いて!」というスタンスが増えています。

Q. 子育てと両立できる?

A. シフト調整、時短勤務、突発的な休みに理解がある職場が増えています。
「ママナース」同士で助け合える職場がベストです。


第10章 これから復職を考えるあなたへ――“一歩”の背中を押したい

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
ブランクがあっても、また現場で働きたい――
その想いは、**あなただけの“強み”**です。

現場に戻ることは、勇気がいることです。
でも、

  • 「患者さんの笑顔がまた見たい」

  • 「家族や自分のために、社会の一員として働きたい」

  • 「看護師の資格をもう一度活かしたい」
    そんな気持ちを大切にしてください。

不安や緊張、分からないことがあっても大丈夫。
「また一から始めていい」
「できないことは、できるようになればいい」
「自分らしいペースで一歩ずつ進めばいい」
そう心に決めて、新しいスタートを切りましょう。

あなたの看護の力が、待っている人が必ずいます。
ここまでお読みくださり、本当にありがとうございました。

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株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

青山学院大学経済学部卒業後、株式会社キャリアデザインセンターに入社。IT業界、コンサルティングファーム、重機メーカー、飲食業界など、大手上場企業から中小ベンチャーまで200社以上の中途採用に携わる。その後、大手ITサービス企業の人事として年間数百名規模の人材採用に従事。2015年株式会社STORIO設立。キャリアコンサルタントとして転職支援を行うとともに、人事領域のプロフェッショナルとして人材採用支援、組織開発などのコンサルティングも行う。
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