もう人間関係で悩まない！看護師が選ぶ職場環境が良い病院の見分け方

1. はじめに ―― 看護師転職の「本当の理由」は人間関係

看護師の転職理由で最も多いのは「人間関係のストレス」である――これは日本看護協会や厚生労働省など、さまざまな調査で繰り返し裏付けられている事実です。

2024年「看護職の転職理由全国調査」によると、転職経験者の実に59.2％が「人間関係の問題」を最重要理由と回答しています（※複数回答）。

【表1】看護師が転職を決めた主な理由（複数回答）

「人間関係」はすべての世代・雇用形態で最も多い理由となっています。
現場の口コミやSNSでも「いじめ・陰口・無視」「派閥・グループ化」「パワハラ」「教育の厳しさ」「相談できない雰囲気」など、さまざまな悩みが目立ちます。

【表2】人間関係でよくある悩みの内容（看護師の声・複数回答）

2. なぜ看護師の職場は人間関係で悩みやすい？【構造的理由と心理的背景】

2-1. 職場の上下関係・縦社会の色濃さ

• 主任・師長・部長など多重階層、厳しいヒエラルキー

• 「年功序列」の文化が根強く、ベテランの発言力が強い

• 新人や異動者への“独特な洗礼”や「教育」という名の厳しい指導も

2-2. 女性が多い職場の独特なコミュニケーション

• グループ・派閥ができやすい

• 暗黙のルール、察する文化、気遣いのプレッシャー

• 陰口や仲間外れ、“空気を読む”ことが求められる

2-3. 感情労働・患者ケアのストレスが現場に波及

• 命を預かる緊張感・責任感で心身の余裕が削られる

• 患者・家族・医師との間に挟まれ、怒りやイライラが職員間に飛び火しやすい

• 人手不足・多忙で「余裕のない職場」が増加中

2-4. 看護師が人間関係で「傷つきやすい」心理背景

• 「患者第一」の姿勢で自分を後回しにしがち

• 完璧主義や責任感の強さから自分を責めやすい

• 共感的で繊細な性格の方が多い（HSP傾向も）

3. データで読み解く“人間関係が良い職場”の共通点と傾向

3-1. ホワイトな病院は「協力文化」と「相談しやすさ」がある

【表3】看護師が「人間関係が良い」と感じた職場の特徴（複数回答）

協力的な職場風土と「困ったときに助けてくれる」安心感が、人間関係の良好さの本質です。

3-2. 客観的な数値で見る“ホワイト指標”

【表4】職場環境良好な病院と平均的な病院の数値比較

「離職率」「有給取得率」「ハラスメント件数」「研修・面談体制」がポイントです。

4. 求人票・公式情報の「嘘」と見抜き方

4-1. 求人票の“人間関係良好”に騙されない！

実際は「人間関係良好」と書かれていても、現場はギスギスしている…というケースが少なくありません。

【表5】求人票の「人間関係良好」と実態（転職者n=920）

4-2. 本当の「雰囲気・風通し」はどう調べる？

(A) 口コミ・SNS・現役スタッフの声

• 看護roo!、ナスコミ、ナース専科コミュニティ等で現場の声を検索

• GoogleやX（旧Twitter）で「病院名＋口コミ＋看護師」等で調査

• 実際の知人・元同僚に“ぶっちゃけどう？”と聞く

(B) 数値データの確認

• 離職率・有給取得率・ハラスメント申告数

• 厚労省や自治体サイトの公開データも活用

(C) 見学・面接時に空気を体感

• ナースステーションや休憩室の雰囲気

• スタッフ同士の挨拶・雑談・目線・表情

• 新人・異動者への声かけ・サポート体制

(D) エージェントへの裏取り

• 「この病院で離職理由のトップは？」「最近人間関係でトラブルは？」など突っ込んで質問

• しっかり答えてくれる担当者を選ぶ

5. 職場見学・面接での“観察・質問リスト”

【表6】職場見学・面接でのチェックポイント

質問例（面接・見学時）

• 「人間関係やハラスメントで悩んだ場合、どこに相談できますか？」

• 「直近3年間の離職率は？離職理由で一番多いのは？」

• 「定期的な面談やサポート体制は？」

• 「新人や中途入職者が“孤立しないため”の工夫は？」

• 「過去1年以内で人間関係での退職やトラブルは？」

“隠したい病院”はこうした質問に曖昧な返答になりがちです。

6. 口コミ・SNS・エージェントの「使い倒し方」

• 同じ病院でも配属先によって雰囲気が異なるため、なるべく配属希望科の口コミやリアルな声を探す

• 現役の知人がいれば本音で聞く。「人間関係やばい？」と直球でOK

• エージェントは複数登録して“担当者のレベル”も比較。紹介求人だけでなく「やめた方がいい病院も教えて」と頼む

7. 体験談分析――成功と失敗を分けたのはどこか

成功例：「人間関係重視」で転職先を選んだ看護師の声

「前職は派閥・いじめがひどく、毎日泣きながら出勤。次の転職は口コミと職場見学を徹底し、スタッフが自然に笑い合っている雰囲気の病院へ。今は仕事のストレスが激減、プライベートも充実しています。」（31歳・女性）

失敗例：「“人間関係良好”を信じて後悔」

「求人票の“人間関係良好”に釣られて入職。でも実際は陰口、いびり、師長のワンマンでメンタルを壊しかけました。口コミや知人の意見を軽視した自分を今でも後悔しています。」（39歳・女性）

【表7】転職後「人間関係」で満足した人の事前行動（複数回答）

情報収集・複数比較を実践した人ほど「満足」につながっています。

8. 年代・ライフスタイル別の注意点

20代

• 新人や異動者への“教育の厳しさ”がストレスになりやすい

• 定着率や「相談できる先輩」の存在を重視

30代～40代

• 育児・介護との両立には「助け合い文化」「急な休みに対応できるか」が重要

• 中堅層は管理職との相性や、年下上司との関係にも注意

50代以上・ブランク復帰

• 若手中心の職場では孤立しやすいケースも。年齢層や再教育体制の有無を要チェック

• 再就職支援やベテラン歓迎の職場を狙う

9. 職場環境重視の転職・実践アクションリスト

1. 自己分析（どんな人間関係で働きたいか、何が苦手か）

2. 複数の求人サイト・エージェント・口コミ・SNSで情報収集

3. 職場見学や面接で「空気感」「雰囲気」を観察

4. 質問でサポート・相談体制、ハラスメント防止策まで確認

5. 入職後も困った時は早めに相談、我慢しすぎない

10. よくあるQ&A

Q. 面接や見学で「人間関係の悩み」をどう聞けば角が立たない？

A. 「新人や異動者が困った時、どんなサポート体制がありますか？」など“相談体制”や“面談の頻度”を質問しましょう。
直接「人間関係悪いですか？」より自然かつ本質的な情報が得られます。

Q. 口コミが真逆の場合、どちらを信じる？

A. どんな職場にも“合う・合わない”はあるため、必ず複数の口コミと見学・自分の感覚も合わせて総合判断を。
エージェントや現役スタッフの“裏話”も参考に。

11. まとめ ―― 「情報＋体感」が人間関係ミスマッチ回避の最強手段

人間関係の悩みは、仕事への意欲や人生の幸福度にも直結します。
「求人票・公式の言葉」ではなく、
「数値データ・現場の口コミ・自分の目と耳」で確認した“本当の空気感”を信じましょう。

あなた自身が心から安心して働ける、「人間関係で悩まない」職場選びを叶えてください。

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株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

青山学院大学経済学部卒業後、株式会社キャリアデザインセンターに入社。IT業界、コンサルティングファーム、重機メーカー、飲食業界など、大手上場企業から中小ベンチャーまで200社以上の中途採用に携わる。その後、大手ITサービス企業の人事として年間数百名規模の人材採用に従事。2015年株式会社STORIO設立。キャリアコンサルタントとして転職支援を行うとともに、人事領域のプロフェッショナルとして人材採用支援、組織開発などのコンサルティングも行う。

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