看護師として新卒で働き始めたときの給与、特に手取り額がどの程度になるのかは、これから看護師を目指す方や新人看護師にとって大きな関心事です。給与の総額(額面)と手取り額には社会保険料や税金が控除される分の差があり、実際に受け取れる金額は想像より少ない場合があります。本記事では、看護師の初任給と手取り額の実態を、データや具体例を交えながら詳しく解説します。
目次
看護師の給与体系の基本構造
看護師の給与は以下の項目で構成されます。これらを理解することで、額面給与と手取り額の違いが分かりやすくなります。
- 基本給:病院や学歴(大卒、専門卒など)によって決まる固定部分。
- 各種手当:夜勤手当、資格手当、住宅手当、通勤手当など。
- 賞与(ボーナス):年に2回程度支給されることが多い。
- 控除額:所得税、住民税、社会保険料、年金、雇用保険など。
看護師の初任給(額面)の平均値
日本の看護師の初任給は、学歴や勤務先によって異なります。以下は、日本看護協会のデータや病院の採用情報をもとにした平均的な額面給与です。
学歴 | 平均月給(額面) | コメント |
---|---|---|
専門学校卒 | 約22万円 | 夜勤手当を含むと24~25万円になる場合が多い。 |
短大卒 | 約23万円 | 基本給がやや高い傾向。 |
大卒(四年制大学) | 約24万円 | 学歴手当があるため、他よりやや高い。 |
手取り額はどれくらい?控除額を含めたシミュレーション
額面給与から、税金や社会保険料などを控除した後の実際に手元に残る金額が手取り額です。以下は、月給22万円の新卒看護師の場合の控除例です。
月給22万円の場合の控除例
控除項目 | 控除額(目安) |
---|---|
所得税 | 約5,000円 |
住民税 | 約1万円 |
健康保険料 | 約1万5,000円 |
厚生年金保険料 | 約2万2,000円 |
雇用保険料 | 約660円 |
合計 | 約5万円 |
手取り額:約17万円
月給24万円の場合の控除例
控除項目 | 控除額(目安) |
---|---|
所得税 | 約6,000円 |
住民税 | 約1万2,000円 |
健康保険料 | 約1万6,000円 |
厚生年金保険料 | 約2万5,000円 |
雇用保険料 | 約720円 |
合計 | 約6万円 |
手取り額:約18万円
各種手当の影響
初任給に含まれる手当が多いほど、額面給与が増えるため手取り額にも影響します。以下に、新人看護師が受け取る可能性のある手当をまとめました。
主な手当と金額
手当名 | 金額の目安 | コメント |
---|---|---|
夜勤手当 | 1万3,000~1万6,000円 | 1回あたりの金額。月に4回程度が平均。 |
資格手当 | 5,000~2万円 | 認定看護師や専門看護師などの資格に応じて支給。 |
住宅手当 | 1万円~3万円 | 一部または全額支給される場合あり。 |
通勤手当 | 5,000~1万円 | 通勤距離に応じて支給。 |
夜勤手当は手取り額を増やす重要な要素で、月に4回の夜勤を行った場合、5~6万円の加算となります。
エリア別の初任給と手取り額
地域によって給与水準が異なるため、手取り額にも差があります。以下にエリア別の平均初任給と手取り額を示します。
エリア | 初任給(額面) | 手取り月額(目安) |
---|---|---|
都市部(東京、名古屋、大阪) | 約24万円 | 約18万円 |
地方都市(仙台、広島など) | 約22万円 | 約17万円 |
農村地域 | 約21万円 | 約16万円 |
都市部では給与が高い傾向がありますが、控除額も高くなるため、手取り額の差はそれほど大きくありません。
手取り額を増やす方法
初任給の手取り額は控除後のため少なく感じられることが多いですが、以下の方法で実質的な収入を増やすことが可能です。
1. 夜勤回数を増やす
夜勤手当は手取りを増やす最も効率的な方法です。月に2回の夜勤を増やすだけで、年間約30万円以上の増加が見込めます。
2. 住宅手当を活用する
住宅手当が支給される職場を選ぶことで、家賃の負担を軽減し、実質的な手取り額を増やすことができます。
手取りの違い(住宅手当の有無) | 家賃負担 | 実質手取り額 |
---|---|---|
住宅手当なし | 5万円 | 約12万円 |
住宅手当あり(2万円支給) | 3万円 | 約14万円 |
3. 節税対策を行う
ふるさと納税や医療費控除を活用することで、所得税や住民税を抑えられます。
初任給の使い方:生活費のシミュレーション
新卒看護師の手取り額を基に、1か月の生活費の内訳をシミュレーションしてみます。
項目 | 支出額(目安) |
---|---|
家賃 | 5万円 |
食費 | 3万円 |
光熱費 | 1万円 |
通信費 | 1万円 |
交通費 | 5,000円 |
娯楽・交際費 | 1万円 |
貯金 | 2万円 |
合計 | 約14万5,000円 |
手取りが約18万円の場合、月3万円程度の余裕が生まれます。
新人看護師の手取りに対する注意点
1. 控除額の増加
年齢が上がると、住民税や保険料が増加するため、手取り額が減少する可能性があります。
2. 賞与の変動
賞与は年収を大きく左右しますが、職場や勤務態度によって支給額が変わることがあります。
まとめ:看護師の初任給を正しく理解して計画的に使おう
看護師の初任給は学歴や地域、勤務先によって異なりますが、手取り額は額面の約75~80%が一般的です。控除額が大きい分、夜勤手当や住宅手当、資格手当を活用することで、実質的な収入を増やすことが可能です。
また、生活費を抑え、計画的な貯蓄を行うことで、新人時代から安定した生活を築けます。給与の仕組みを理解し、自分に合った働き方を見つけましょう。
株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】
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