目次
はじめに ――「夜勤を減らしたい」看護師が急増している現実
「夜勤が体力的につらい」「生活リズムが崩れて健康に自信がない」「子育てや家族との時間を大切にしたい」――こうした理由から夜勤が少ない職場を探す看護師が年々増加しています。
日本看護協会の「看護職の働き方と転職意識調査(2024)」によれば、“夜勤負担を減らすために転職したい”と考えている現役看護師は全体の69.2%に達しています。特に30代~40代、子育て世代、ブランク明けの女性でその傾向は強まっています。
【表1】夜勤による主な悩み・影響(複数回答/n=3,100)
症状・悩み | 割合(%) |
---|---|
睡眠不足・不眠 | 71.8 |
生活リズムの乱れ | 67.2 |
慢性的な疲労感 | 60.5 |
家庭・育児と両立困難 | 49.7 |
精神的ストレス | 44.9 |
健康診断で異常を指摘 | 26.4 |
約7割が「睡眠不足や生活リズムの乱れ」を実感し、家族関係や心身の健康への負担も大きいことが分かります。
1. 夜勤が少ない職場・人気求人の最新動向
1-1. 夜勤の少ない求人は年々増えている
医療現場の「働き方改革」や看護師不足の影響で、夜勤が少ない職場や“日勤のみ”求人が急増しています。
【表2】看護師求人に占める「夜勤少なめ・日勤のみ」求人割合推移(2018-2024年)
年度 | 日勤のみ求人(%) | 夜勤少なめ求人(%) |
---|---|---|
2018 | 18.3 | 9.2 |
2019 | 20.5 | 11.5 |
2020 | 22.9 | 13.6 |
2021 | 25.1 | 15.7 |
2022 | 27.3 | 18.4 |
2023 | 29.2 | 21.7 |
2024 | 32.6 | 23.9 |
この6年間で「夜勤がない・少ない求人」が約2倍に増加していることが分かります。
1-2. 夜勤が少ない職場の主な選択肢と特徴
(1)クリニック・診療所
原則日勤のみ・夜勤ゼロ。診療時間が18~19時までのケースが多く、土日祝休みの職場も目立ちます。
<主な科目>内科、小児科、皮膚科、美容クリニック、眼科など。
(2)健診センター・人間ドック
完全日勤・夜勤ゼロ・土日祝休みも多数。検診や健康診断のサポート業務が中心。
(3)訪問看護ステーション
夜勤はほぼなし。職場によっては緊急時のオンコールあり。
(4)デイサービス・デイケア・ショートステイ
日勤専従。早番や遅番はあるが夜勤なし。子育て世代・ブランク明けにも人気。
(5)介護施設(特養・老健など)
夜勤回数の調整や“夜勤免除”が可能な施設も増加中。
夜勤専従・日勤専従の分業化が進んでいる。
(6)企業・学校・保育園等
産業保健師や保健室、保育園看護師は完全日勤、夜勤ゼロ。カレンダー通りの休みも多い。
【表3】夜勤少なめ職場ごとの夜勤実施状況と特徴
職場・業種 | 夜勤頻度 | 備考 |
---|---|---|
クリニック・診療所 | なし | 土日祝休みが多い。朝8:30~19:00内が主流 |
健診センター | なし | 年間休日120日以上も多い |
訪問看護ステーション | ほぼなし | 緊急コールは職場による |
デイサービス・デイケア | なし | 日曜休み・時短勤務可 |
介護施設(特養・老健等) | 0~3回/月 | シフト調整可。夜勤専従あり |
産業・学校・保育園看護師 | なし | 完全日勤・カレンダー通りの休み |
2. 夜勤少なめ求人の探し方 ― 「本当に人気の職場」を見極めるコツ
2-1. 公式求人票だけではわからない「落とし穴」
「夜勤なし」と記載されていても、実は当直やオンコールがあったり、繁忙期だけ夜勤を頼まれるケースも少なくありません。
また、“日勤のみ”求人でも実際は「残業や休日出勤が多い」などワークライフバランスを損なう要因も。
【表4】「夜勤なし求人」で実際に経験したミスマッチ(複数回答/2024年調査)
ミスマッチ内容 | 経験率(%) |
---|---|
繁忙期のみ夜勤あり | 24.6 |
オンコール対応が多かった | 21.1 |
日勤でも残業・休日出勤多い | 35.8 |
業務量や責任が想定以上 | 27.5 |
人間関係のトラブル | 16.2 |
“夜勤少なめ求人”は増加傾向だが、実態は要確認です。
2-2. 検索・応募時の具体的なコツ
(A) 求人サイト・エージェント活用
-
夜勤なし・日勤のみ・夜勤少なめなどのキーワードを活用
-
シフト例や月平均夜勤回数を必ずチェック
-
「ワークライフバランス」「家庭と両立」「残業ほぼなし」等の特集やランキングも参考に
(B) 口コミ・評判の確認
-
看護roo!、ナスコミ、ナース専科コミュニティなど口コミサイトで現場の実態をリサーチ
-
GoogleやSNSで「〇〇クリニック 口コミ」「△△施設 評判」と検索
(C) エージェントへ詳細ヒアリング
-
「夜勤ゼロ/夜勤少なめ」を希望する理由や、譲れない条件を具体的に伝える
-
オンコールの有無、緊急出勤の頻度、残業や休日出勤、繁忙期のシフトも必ず確認
(D) 現場見学・面接時の質問例
-
「夜勤免除は本当に徹底されていますか?」
-
「オンコール対応は何回/月くらい発生しますか?」
-
「夜勤専従の方と日勤専従の方の割合は?」
-
「家庭の事情(育児・介護等)で夜勤不可の場合、どこまで配慮してもらえますか?」
「求人票に書いていない情報」を自分の目と耳で確かめることが重要です。
2-3. 夜勤少なめ求人の人気ランキング(2024年)
【表5】夜勤少なめ求人で人気の業種ランキング(2024年 看護roo!調査 n=2,900)
ランク | 職場・業種 | 満足度(10点満点) | 応募者数比率(%) |
---|---|---|---|
1 | クリニック(美容含む) | 8.7 | 31.2 |
2 | 健診センター・検診関連 | 8.5 | 24.9 |
3 | デイサービス・デイケア | 8.1 | 18.3 |
4 | 訪問看護ステーション | 7.8 | 11.6 |
5 | 保育園・学校・産業看護師 | 8.9 | 6.8 |
6 | 介護施設(日勤専従) | 7.4 | 5.1 |
クリニック、健診センター、デイサービスが圧倒的な人気を誇っています。
3. 夜勤少なめ転職の「リアル」体験談とデータ
3-1. 夜勤減で人生が変わった!体験談
事例1:「夜勤ゼロの健診センターで健康も家庭も両立」(34歳・女性)
「病棟勤務で月8回の夜勤が限界。転職で健診センターに移り、夜勤も残業もゼロ。
子どもとの時間が持て、体調も改善し、今は仕事が楽しいです。」
事例2:「デイサービスで“日勤専従”復帰、心も体もラクに」(41歳・男性)
「体力的な負担と家族の介護で夜勤が困難に。デイサービスに転職後は生活リズムも整い、毎日無理なく働けています。」
3-2. 夜勤減による生活・健康への影響データ
【表6】夜勤減少による変化(転職者への自己評価/n=1,500)
項目 | 転職前 | 転職後(夜勤減) |
---|---|---|
睡眠の質(10点満点) | 3.6 | 8.3 |
ストレス感 | 7.1 | 2.9 |
家族との時間 | 2.7 | 8.0 |
仕事満足度 | 5.2 | 9.0 |
健康診断異常率(%) | 27.5 | 12.8 |
夜勤を減らしたことで、QOL(生活の質)が劇的に向上したと感じている看護師が大半です。
4. 夜勤少なめ職場の「注意点」とリアルなデメリット
「夜勤が少ない=ラク」ではありません。
人気求人には思わぬ注意点や“デメリット”もあります。
【表7】夜勤少なめ職場でよくある悩み・注意点
内容 | 経験者率(%) |
---|---|
給与が夜勤ありより下がった | 59.2 |
業務の幅が広く責任が重い | 41.3 |
人間関係が閉鎖的 | 28.1 |
ルーチンワーク中心でやりがい減 | 17.5 |
希望休が取りにくい | 13.9 |
夜勤手当が無いぶん給与は減少しやすいので、生活設計に注意が必要です。
また、クリニックや健診センターは小規模組織が多く、スタッフ間の関係性や業務範囲が広がる傾向も。
「責任の重さ」や「職場風土」も事前に確認しておきましょう。
給与・待遇の比較データ
【表8】職場別 平均年収比較(2024年 全国調査)
職場種別 | 平均年収(万円) |
---|---|
病院(夜勤あり・3交替) | 486 |
病院(夜勤少なめ) | 423 |
クリニック・診療所 | 387 |
健診センター | 371 |
デイサービス・介護施設 | 364 |
訪問看護 | 416 |
保育園・学校・企業 | 398 |
夜勤なし職場は、夜勤手当分だけ平均年収が下がる傾向があります。
5. 応募・面接・入職後まで――後悔しない転職のアクションリスト
応募前の準備
-
なぜ夜勤を減らしたいのか/自分の優先順位は?
-
給与・休日・勤務時間などの希望を“譲れない条件”と“妥協できる条件”に整理
情報収集・比較
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求人サイト・エージェントの複数利用
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口コミサイト・SNSで実態リサーチ
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職場見学で雰囲気・業務範囲・シフトを確認
応募・面接
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面接では「夜勤回数」「オンコール有無」「シフトの融通」など詳細まで質問
-
雇用条件通知書で細部まで確認(給与・手当・残業・休暇・配属など)
入職後
-
業務内容・人間関係で疑問や不満があれば早めに相談
-
夜勤なしでもルーチンや責任範囲の変化に柔軟に対応
おわりに――「夜勤が少ない=自分らしい働き方」実現のために
夜勤を減らすことで、健康・家庭・プライベートが充実し、看護師としてのキャリアや人生を長く楽しめる人が増えています。
一方で、給与や責任・人間関係など新たな課題もあるため、「夜勤の少なさ」だけでなく総合的に納得できる職場を選ぶことが大切です。
「求人票だけ」「エージェント任せ」ではなく、自分の目と耳で“リアルな働き方”を確かめ、納得できる転職を実現してください。

株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

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