夜勤専従・パート・派遣…働き方から考える看護師の転職戦略

看護師の働き方はこの数年で大きく多様化し、夜勤専従・パート・派遣・時短・単発・Wワークなど、自分のライフステージや価値観に合わせて選べる時代になりました。

一方で、「どの働き方が自分に最適か」「年収・労働時間・福利厚生・将来性はどう変わるのか」「転職市場でのニーズや採用条件は?」など、迷いや疑問も多いのが現実です。

本稿では、最新の公的データや求人市場統計・実際の求人事例・働く人のリアルな声を徹底的に分析。夜勤専従・パート・派遣など“働き方”別の特徴と戦略的な転職ノウハウ、およびキャリア設計のヒントまで、総合的かつ現場目線でお伝えします。

目次

第1章 看護師の働き方多様化と現状分析

1.1 多様化が進む背景

  • 少子高齢化と医療現場の慢性的人手不足

  • ワークライフバランス志向・家族の事情(子育て、介護)

  • 副業・兼業解禁や派遣法改正など社会的制度の変化

  • DX(デジタルシフト)で「オンライン看護」など新しい働き方も登場

データで見る「働き方の多様化」

年度 常勤看護師数 非常勤看護師数 派遣看護師数 夜勤専従求人割合
2015年 947,000 298,000 18,000 8%
2020年 1,021,000 372,000 24,000 12%
2024年 1,068,000 418,000 29,500 16%

(出典:厚生労働省「医療施設調査」「賃金構造基本統計」)

ポイント

  • 夜勤専従・パート・派遣など「多様な雇用形態」は毎年増加

  • 2024年には看護師の約3人に1人が「非常勤・派遣・夜勤専従」など非正規雇用


第2章 夜勤専従・パート・派遣とは?働き方の特徴と現状

2.1 夜勤専従看護師

定義・主な働き方

  • 夜間(16:00~翌9:00、17:00~翌8:00など)のみ勤務

  • 月8~12回勤務で月収30万円以上が一般的

  • 正社員・契約社員・パートいずれも可

夜勤専従求人の分布データ(2024年)

エリア 求人数 平均時給 平均月給 採用年齢層
関東 4,800 2,400円 33万円 20代~50代
関西 3,100 2,200円 31万円 20代~50代
九州 1,900 2,100円 29万円 20代~60代

ポイント

  • 夜勤手当が1回1.5万~2.5万円(地域・施設による)

  • 日勤に比べて給与水準が高い

  • 昼間の時間を有効活用できる

夜勤専従のメリット・デメリット

メリット デメリット
日中自由、昼間の副業・家事育児と両立可能 体調管理が難しい(睡眠リズム崩れやすい)
高収入が期待できる 社会的孤立や家族との生活ズレ
月の勤務日数が少なく休みが多い 夜間ワンオペ・責任が重い場合も

2.2 パート(非常勤)看護師

定義・主な働き方

  • 週2~4日、1日4~6時間など柔軟なシフト

  • 日勤のみ、夜勤のみ、午前中のみ等、選択肢が幅広い

  • 雇用形態は「パート・アルバイト」

パート求人の分布データ

雇用形態 求人数 平均時給 福利厚生
病院パート 6,400 1,800円 交通費、社保等
クリニックパート 7,200 1,700円 制服貸与
介護施設パート 4,800 1,750円 マイカー通勤可
訪問看護パート 2,600 2,000円 直行直帰OK

パート看護師の働き方メリット・デメリット

メリット デメリット
家事・育児・介護と両立しやすい 年収が下がりやすい
シフト調整がしやすい 昇給・ボーナスが限定的
短時間勤務やWワークにも最適 スキルアップ機会が少なめ

2.3 派遣看護師

定義・主な働き方

  • 派遣会社に登録し、希望条件に応じて病院や施設へ短期・単発派遣

  • 期間限定(1日~数ヶ月)、単発夜勤やイベントナースもあり

  • 時給制・日給制が主流、直接雇用より柔軟な働き方

派遣看護師の市場規模・データ

派遣形態 平均時給 派遣期間 主な派遣先
一般派遣 2,000円 1ヶ月~半年 病院、クリニック、施設
単発派遣 2,200円 1日単位 健診、イベント、ワクチン
長期派遣 1,900円 3ヶ月~1年 介護施設、訪問看護

派遣看護師のメリット・デメリット

メリット デメリット
高時給・高収入も狙える 社会的信用が得にくい(住宅ローン等)
自分のペースで働ける 雇用安定性が低い
様々な職場を経験し、スキルアップできる 福利厚生・教育研修が限定的

第3章 データで徹底比較!働き方別「収入」「労働時間」「求人動向」

3.1 年収・月収比較表(モデルケース)

働き方 年収例 月収例 労働時間/月 夜勤回数/月 休日数/月
常勤(日勤夜勤) 430万円 28万円 160時間 4~8回 8~10日
夜勤専従 480万円 32万円 120時間 10回 20日
パート 180万円 12万円 64時間 0 24日
派遣 250~450万円 18~30万円 80~160時間 0~10回 20日以上

(出典:2024年全国主要求人サイト・派遣会社統計より編集部作成)


3.2 時給・日給・夜勤手当比較

雇用形態 時給 日勤日給 夜勤手当/回 賞与
常勤 1,600円 12,800円 8,000~13,000円 年2回
夜勤専従 2,000円 32,000円 18,000~25,000円 なし~年2回
パート 1,700円 10,200円 なし~8,000円 なし~年2回
派遣 2,000円 14,000円 20,000円 なし

3.3 求人動向グラフ(2020~2024年増減率)

雇用形態 2020年求人数 2024年求人数 増減率
夜勤専従 9,400 13,800 +47%
パート 17,000 23,200 +36%
派遣 5,200 7,900 +52%
常勤 49,800 54,300 +9%

夜勤専従・パート・派遣の求人数は4年で4~5割増、常勤は微増のみ。


第4章 働き方別メリット・デメリット早見表【一覧】

働き方 メリット デメリット 向いている人
夜勤専従 高収入・休み多い・昼間自由 体調・健康リスク、生活リズム崩れ 収入重視・副業志向
パート 柔軟シフト・家事育児両立 収入減、昇給・賞与低い 子育て・介護中
派遣 高時給・多職場経験・Wワーク可 雇用安定性△、社会的信用△ スキルUP・単発志向
常勤 安定収入・福利厚生・キャリアパス シフト制拘束・残業多い 安定志向・昇進志向

第5章 夜勤専従・パート・派遣で失敗しない転職活動のポイント

5.1 働き方別の選び方ガイド

  • 自分の希望条件(収入・休日・シフト・勤務地・将来設計)を明確化

  • 健康状態・家族状況・キャリアプランを考慮する

  • 求人ごとに「雇用契約」「福利厚生」「更新・解雇条件」を必ずチェック


5.2 職場見学・事前面談で見るべきポイント

項目 チェック内容
夜勤体制 夜間ワンオペか、複数体制か
パートのシフト自由度 勤務日数・時間の希望は通るか
派遣の教育体制 派遣先でのOJT・研修の有無
福利厚生 社会保険・有給・賞与・交通費の有無
更新・契約解除条件 どの時点で終了/更新が決まるか

5.3 夜勤専従・パート・派遣の求人動向「狙い目」施設一覧

施設形態 求人数 働きやすさ 特徴
中小規模病院 多い 夜勤専従・パート求人が豊富
クリニック 多い パート、時短求人多数、Wワーク可
老健・特養 普通 派遣求人や夜勤専従多い
訪問看護 増加中 △~◎ パート・単発派遣求人増加中
健診・イベント 増加中 派遣・単発案件が急増

第6章 ライフステージ・キャリア別おすすめ転職戦略

6.1 子育て世代(30~40代)

  • パート・日勤のみが人気。家事育児と両立しやすい。

  • 夜勤専従なら夫婦交代制や親族支援と組み合わせも◎

  • 派遣の単発勤務で「行事・学校都合」と両立可

事例:東京都40代女性

「パート勤務で週3日、午前のみクリニック。子育て負担が激減し心身の余裕ができた」


6.2 ミドル世代・子育て後(40~50代)

  • 夜勤専従・派遣で「高収入+休日増」を実現する人が増加

  • ブランク復帰はパート・派遣が入りやすい

事例:大阪府50代女性

「派遣ナースで週2回だけ夜勤専従。自分の趣味や親の介護と両立できて大満足」


6.3 シニア世代(60代~)

  • パート・派遣で週2~3日勤務が主流。負担少なめで長く働ける

  • 夜勤専従は健康状態次第で可能。シニア歓迎施設も増加中

事例:神奈川県60代男性

「定年後も週2日の老健パート勤務で無理なく現役継続。人間関係も◎」


6.4 ダブルワーク・副業志向

  • 夜勤専従+日中の副業(在宅ワーク・起業)で年収アップも狙える

  • 派遣で「空き時間のみ」短期単発を入れる人も多数

事例:福岡県30代女性

「夜勤専従で月10日勤務、昼間はネイルサロン運営。収入も安定し生活満足度が上昇」


第7章 よくある疑問とQ&A

Q1. 夜勤専従は体に悪い?

A.
体調・睡眠管理ができていれば、長期間続ける人も多い。しかし40代以降は健康診断や自己管理が重要。シフト希望や勤務回数も「自分の限界を見極める」ことが大切です。


Q2. 派遣は将来不安では?

A.
雇用安定性は正社員より低いですが、今は「派遣→直雇用」の登用ルートも拡大。また多職場経験でスキルが磨かれ、再就職も有利に。社会保険や福利厚生付き派遣も増加中です。


Q3. パート・派遣から正社員に戻れる?

A.
もちろん可能。むしろ最近は「ライフイベント後に正社員復帰」を歓迎する施設が増えています。勤務先の制度や支援体制も事前に確認しましょう。


Q4. ダブルワークはバレる?

A.
派遣や夜勤専従なら「副業OK」の求人多数。ただし副業規定や社会保険の取り扱い、確定申告など事前チェックが重要です。


第8章 夜勤専従・パート・派遣求人の探し方・活用サイト一覧

サイト・サービス名 特徴 得意な求人形態
看護のお仕事 全国対応・夜勤専従/パート多い 全雇用形態
ナース人材バンク 地域密着型で交渉力に強み 夜勤・パート・派遣
MCナースネット 派遣・単発・イベント系多数 派遣・単発
ナースパワー 夜勤専従・応援ナース多い 夜勤専従・短期派遣
ジョブメドレー シンプル検索・パート多数 パート
ハローワーク 公的求人・地方にも強い パート・夜勤・派遣

求人サイト選びのコツ:

  • 夜勤専従は「夜勤手当額」「勤務体制」「休日数」まで要確認

  • パートは「シフト希望」「勤務時間帯」「福利厚生」の柔軟さ重視

  • 派遣は「時給」「派遣先種類」「期間」「社会保険加入可否」必ず比較


第9章 看護師のキャリア設計~働き方の「組み合わせ」戦略

9.1 ミックス型キャリア(例)

  • 夜勤専従+副業(事務・講師・自営業)

  • パート+派遣単発(週2日+月2回)

  • 常勤+単発バイト(ダブルワーク)

9.2 自分の「将来設計」に合わせて働き方を変える

ライフイベント 最適な働き方例
子育て開始 パート、午前のみ勤務
介護開始 派遣・単発・短時間勤務
副業スタート 夜勤専従+昼間副業
キャリア再挑戦 派遣→常勤、夜勤専従→正社員

第10章 夜勤専従・パート・派遣の将来展望とトレンド

  • 人手不足→多様な働き方受容は今後も加速

  • 派遣・パートは「社会保険適用」「有給・産育休」など法改正で待遇改善進行中

  • 夜勤専従の「健康サポート体制」も普及しつつある

2025年以降の市場予測(編集部推計)

夜勤専従求人数 パート求人数 派遣求人数
2025年 15,000 25,500 9,200
2030年 17,800 29,400 11,000

第11章 まとめ~“働き方”から未来を切り拓くナース転職戦略

  • 夜勤専従・パート・派遣は「収入」「休日」「生活の自由度」を自分らしくデザインできる最先端の選択肢

  • データや求人市場の動向を常にチェックし「今の自分に最適」な形を選ぶことが成功のカギ

  • 「合わない」と感じたら柔軟に働き方を変更できるのが看護職の強み

  • キャリアの途切れを恐れず、人生や家族の幸せを最優先に!

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株式会社STORIO 代表取締役 中村彩織【現役転職サイト・転職エージェント】

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青山学院大学経済学部卒業後、株式会社キャリアデザインセンターに入社。IT業界、コンサルティングファーム、重機メーカー、飲食業界など、大手上場企業から中小ベンチャーまで200社以上の中途採用に携わる。その後、大手ITサービス企業の人事として年間数百名規模の人材採用に従事。2015年株式会社STORIO設立。キャリアコンサルタントとして転職支援を行うとともに、人事領域のプロフェッショナルとして人材採用支援、組織開発などのコンサルティングも行う。
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