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日本看護協会|2017年 病院看護実態調査
公益社団法人日本看護協会は「2017年病院看護実態調査」を行いました。
この調査は病院看護職員の需給動向や労働状況、看護業務の実態などの把握を目的として毎年実施している調査です。
○調査概要
全国の病院8,396施設を対象に、自記式調査票の郵送配布・郵送回収で行いました。
調査期間は2017年10月1日?16日で、有効回収数は4,134(有効回収率49.2%)でした。
回答病院の設置主体は「医療法人」2,392施設、「都道府県・市町村」547施設、「その他の法人」166施設、「公益社団法人・公益財団法人」122施設、「社会福祉法人」118施設などです。
許可病床数は、「99床以下」1,144施設、「100?199床」1,395施設、「200?299床」594施設、「300?399床」400施設、「400?499床」242施設、「500床以上」295施設です。
所在地は「県庁所在地」が1,134施設、「東京23区・政令指定都市」762施設、「中核市」701施設、「過疎地域が含まれる市町村」728施設です。
都道府県別にみると、回答数が多かったのは、「東京都」308施設、「北海道」273施設、「大阪府」215施設、「兵庫県」183施設、「神奈川県」182施設の順です。
○調査結果
@地域における病院の役割
自院の役割について、現状果たしている役割と2025年に果たしたい役割は、「複数の機能をもち、地域のニーズに幅広く対応する」という回答がどちらも3割弱で、最も高い割合となりました。
一方「急性期患者や長期療養が必要な患者への対応」の割合は7ポイントほど減り、「在宅復帰を目指す患者への対応」や「訪問看護や訪問診療を提供し、在宅療養すると患者への対応」を将来目指したいという割合は、4ポイントほど大きくなっていました。
これは近年の地域医療構想などの政策動向の影響を受け、従来の病院完結型から地域完結型への体制転換を図っていると考えられます。
これらの役割を果たすための看護管理上の課題として、「病院の役割に即した人材育成」や「看護職員のモチベーションの維持」が多く取り上げられていました。
看護管理者が課題解決に向かえるような支援などは今後の検討課題です。
A看護人材の地域での活用
現状約8割の病院が、看護人材を「地域住民への教育・啓発活動」や「地域の専門職への教育・啓発活動」などに活用していました。
また、退院前後の「患者への訪問指導の実施」の割合も少なくはなく、看護人材を地域で活用する取り組みに対しては、重要性を感じています。今後条件が整えば取り組みたいと考えている病院にその条件を尋ねたところ、人材の確保や育成が多く挙げられました。
この点は支援をしていく必要性を感じました。
B看護職員の離職率
2016年度の正規雇用看護職員離職率は10.9%、新卒看護職員離職率は7.6%で、過去5年以上横ばいが続いています。
新卒看護職員離職率は小規模病院の方が離職率が高い結果が出ており、今後は各病院の労働条件や教育体制、病院の立地などの詳しい条件による離職率の違いも分析する必要があります。
C看護職員の労働条件
・夜勤形態と手当
最も多く適用されている夜勤形態は「二交代制(夜勤1回あたり16時間以上)」で、56.5%でした。2016年と比べると割合が増しており、夜勤に従事する職員の確保が厳しい状況の可能性があります。
しかし、夜勤手当は5年以上ほぼ横ばいで、過酷な夜勤労働に見合った賃金を支払うことが必要と考えられます。
・給与の状況
2018年度に採用予定の新卒看護師の予定初任給の平均基本給は、「高卒+3年課程卒」で20万114円、「大卒」で20万7,013円で、2016年より上昇していました。
しかし勤続10年の中堅職員の平均基本給はわずかに減額していました。
・基本給の決定基準・要素
正規雇用看護職員の基本給の決定基準・要素については、一部に年功序列を採用している病院が8割程度占めていました。
ただ、年功のみの割合は減少しており、能力や職務を考慮し、トータルで決めている病院が増えています。
2017年 病院看護実態調査
http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20180502103904_f.pdf