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防衛省|防衛庁・自衛隊における看護師養成の在り方に関する懇談会

○はじめに
防衛庁・自衛隊においては、防衛医科大学校病院及び自衛隊病院の看護業務や、有事の際に必要となる部隊看護を行うため、看護師を自前養成してきました。
一般社会の看護師養成課程においては、近年の医療の高度化や質の高い安全な医療を求める声の高まりに応えるため、4年制教育をとる看護系大学が急増しています。
このような時代の変化に対し、防衛庁・自衛隊における看護師養成課程が的確に対応しているか、改善の余地はないか、看護師養成の在るべき姿について検討しました。

 

○防衛庁・自衛隊の看護師養成の現状
防衛庁・自衛隊における看護師の養成は、防衛医科大学校(以下「防医大」という。)及び自衛隊中央病院(以下「中病」という。)にそれぞれに設置している看護師養成所である高等看護学院において3年課程で行なっています。

 

○看護師養成を取り巻く状況
我が国の看護師養成は、大学、短期大学、養成所における3年課程と、准看護師を対象とした2年課程で行われています。看護系大学は平成4年に14校だったものが、平成17年には9倍の127校になり、3年課程での養成数の内、4分の1を超えるほど増加しているのです。

 

○防衛庁・自衛隊の看護師養成の在り方

 

・防衛庁・自衛隊看護師の特徴
防衛庁・自衛隊の看護師は特定機能病院であり高度先進医療を担う防医大病院に勤務して社会に求められている医療の高度化・専門化に対応するため、また、自衛隊の病院や駐屯地などに勤務して、平素から隊員の健康管理を通じて精強な自衛隊を支えるため、重要な役割を果たしています。
最近では自衛隊の国内外における諸活動も増加し、「災害派遣」や「国際活動」は自衛隊看護師の役割の大きな特徴と捉えることができます。
人道復興支援活動や国際緊急援助活動における看護活動は厳しい環境下で行われるため、自衛隊看護師は強い精神力や人間的包容力も求められます。
また、有事の際には外傷患者に迅速かつ適切に対応する実践力も求められます。

 

●防衛庁・自衛隊の看護師養成課程に組むべき教育内容
防衛庁・自衛隊の看護師の特徴を、教育内容に反映させておく必要があります。その教育内容についての意見は以下の通りです。
@広い教養
高度医療から健康管理まで、また国内外の多岐にわたる看護活動を担うため、広い視野と状況を見極める目を育てられるよう考慮すること

 

A実践的な臨床能力
有事に際して直ちに実践できる臨床能力を持てるよう、養成課程においても臨地実習をさらに重視すること

 

B保健師、助産師の養成
隊員の健康管理業務や国際活動における公衆衛生的アプローチ、母子保健分野の支援などを考慮すると、保健師や助産師資格の取得も念頭に置くこと

 

C国際看護実習
国立看護大学校において4年次の必修科目とされている国際看護実習を参考にすること

 

D災害時等への対応
危機管理のスペシャリストとしての養成、災害時等の救命救急ケアや精神的ストレスケアなど、特殊な状況においても看護活動ができること

 

E医療安全対策
医療事故等の危機管理について学ぶこと

 

●4年制化の必要性
防衛庁・自衛隊の看護師が果たすべき役割を考えると、3年間の養成課程では不十分であり、修行年限を4年間に延長し、併せて学士号の取得を目指すべきと考えられます。

 

○4年制化に当たっての留意事項
まず第1に、卒後も看護師として学びを重ねていけるよう、修士課程への道、つまり現在主として医官しか受け入れていない防医大研究科に看護学修士課程を設置する、あるいは国内外留学等、卒後の研鑚の場を検討すべきです。
それから、学生の負担になり過ぎないよう、ゆとりを確保するとともに、教育内容を精選し、学生全員に学ばせる必要がある優先事項はしっかり教育するというように、メリハリをつけたカリキュラムを作成すべきでしょう。
他にも、防衛庁・自衛隊独自の教育を一般看護教育と統合させることや、それらを教える教員の確保、防医大のような義務年限や償還金制度の導入なども検討する必要があります。

 

○防衛庁・自衛隊衛生の将来像
防衛庁・自衛隊は他では代替できない機能を持った、すばらしい医療集団ですから、国民のために活用する新しい道についても同時に検討すべきでしょう。
と言うのも、自衛隊医官や防衛庁・自衛隊看護師は国費をもって養成しているからです。
看護師養成課程を4年間に延長するのであれば、当然3年間より経費は必要となり、国民の立場で見れば経済性や効率性という視点も必要としなくてはなりません。

 

○まとめ
防衛庁・自衛隊の看護師が担うべき業務を考えたとき、養成課程を4年間に延長することは必要であると考えます。
その際、看護の基礎部分となる、幅広い教養や人格の涵養、実践的な臨床能力等も重要ですが、これに加えて防衛庁・自衛隊の任務、活動から求められる姿を考え、これを教育内容・方針に反映することが必要との結論に至りました。

 

防衛庁・自衛隊における看護師養成の在り方に関する懇談会
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/kangoshi/houkoku/saisyu.pdf