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医師の休暇事情について
現在、様々な地域や病院で医師不足が問題となっています。
その原因は様々でしょうが、とりわけ、現場で働く医師の休暇事情については、どのようになっているのでしょうか。
ここでは、労働事情と現場で働く医師のアンケート調査をもとに、その実態を探っていきたいと思います。
医師の休暇について
2015年、総合メディカル株式会社によって、全国の医師を対象に、休暇についての意識調査アンケートが実施されました。
激務で有名な全国の医師たちは、一体どの程度の休暇を取り、どのように過ごしているのでしょうか。
ちなみにこちらは、開業医の先生から大学病院に勤務している先生まで広範囲に実施しており、年代も幅広いため、きっと、多くの方にとって参考になるかと思います。
早速、見ていきましょう。
休日の数と報酬は仕事内容に見合っていると思いますか?
一つ目の質問は、「休日の数と報酬は仕事内容に見合っていると思いますか?」という質問です。
これに回答する医師の年収を500万円ずつに区切り、0~500万円から、3000万円以上の医師に、「見合っている」「まあまあ見合っている」「あまり見合っていない」「見合っていない」の4つに分けて回答してもらいました。
結果としては、0~500、1000~2000万円の層の医師の先生がたは「見合っていない」「あまり見合っていない」と回答する割合が40%未満なのに対して、500万~1000万円の層の医師の先生方の回答は、45%を超えている傾向があります。
0~500万円の医師よりも多くの給料を得ているのにもかかわらず、不満の割合が高いという結果になりました。
これは一体どういう事でしょう。
まず、0~500万円の医師というのは、働き始めの医師と推測されます。
経験のない分、診察する患者さんの数や、患者さんの病気の状態が軽い段階での診察を行い、難しい症例は先輩の医師にお願いする事が多いのではないかと推測できます。
一方で、できる仕事の量が増えてきたり、病院内で立場や責任が生じ始めたりなど、キャリアを積んだ医師の先生方は、給料も上がる半面、仕事量と責任の増加と昇給スピードが合わないと感じているのだと思われます。
また、その他の科や病院の先生とも交流が深まっていく中、自分の科や病院に対する不満などが生じ始める時期でもあるのではないでしょうか。
1000万円を超える給料を得ている先生方というのは、高い専門性があるため、逆に患者さんの数が少なく、また、自分で開業する事によって、仕事環境や、働く時間帯、治療法などを自分で決められるため、給料に対する仕事内容の不満が減っているのではないでしょうか。
過去3年間に7日以上の休暇を取ったことがあるか、ある場合は何階取得しているか。
次の質問を見ていきましょう。
「過去3年間に7日以上の休暇を取ったことがあるか、ある場合は何階取得しているか。」という質問です。
ただし、ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始休暇は除きます。
これは性別に分けて医師の先生方に回答していただきました。
結果は、やはり男女ともに0回という回答がダントツで選ばれています。
しかし一方で、女性医師について、2回取得しているという回答が17%、4回取得も5%と、およそ1年に1回の長期休暇を取っているという傾向があります。
しかし男性医師は、女性医師に比べて、休暇の取得の数が少ないという傾向があります。
これは、女性医師が休暇の取得に積極的であることも影響されていますが、男性医師は計画的に長期休暇を取ることができない職場環境になっているというのが影響している可能性もあります。
休暇を取った場合の医師の休暇の実際の過ごし方
次に、「休暇を取った場合の医師の休暇の実際の過ごし方」について、医師の先生方に質問したところ、様々な過ごし方がありました。
若い先生方ですと、「友達と旅行」「行くことのできていなかった新婚旅行」など、海外に旅行する事が多いようです。
また、年齢が上がるにつれて、家族がいる先生方は、子供の夏休みに合わせて休暇を取るほか、家族で旅行をして過ごす先生が多いようです。
しかし中には、子供の年齢が上がるにつれ、例えば、学習塾の夏期講習会などの予定が入るため、旅行はせずにオープンキャンパスや説明会に行く機会も増えてきているそうです。
勤務している場所と出身地の異なる医師の先生方は、家族で実家に帰省をして、数日滞在して戻るという過ごし方もあります。
女性の医師の先生ですと、休日はゆっくりと英気を養う方もいます。
仮に、休暇前に多くの予約患者さんを診察し、数日間旅行したとしても、またすぐに仕事を再開しなければならないとなると、疲労が取れるどころか、さらに疲れた状態で現場に戻る事になってしまいますよね。
それでは本末転倒だと思い、あえて活動的な予定は入れず、ゆっくりされる医師の方も最近は多いようです。
また、ここでも「常勤医師との二人体制なので、申し訳なさ過ぎて休みをとれない」という男性医師の回答がありました。
このように、医師の先生方はなかなか休暇を取られずにいます。
次の章では、実際はどの程度休暇を取得することができるのか、労働時間なども踏まえてお話しさせていただきます。
年次有給休暇について
年次有給休暇とは、既定の休日以外に労働者が収入を得ながら取得できる休暇の事です。
これは、個人が働く事業所の規模や、職種を問わずに適応されるので、当然の話ではありますが、医師にも、この年次有給休暇は適応されます。
年次有給休暇には取得するための条件
さて、年次有給休暇には取得するための条件があります。
基本的な条件は「雇い入れした時期から6か月以上継続していること」、そして「全労働日の8割以上出勤していること」です。
この2点をクリアしていれば、年次有給休暇は取得する事ができます。
8割以上の出勤についての条件は、出勤をしていなくとも、在籍していれば、それは継続して勤務しているとみなされます。
出勤率の計算をするにあたり、出勤率計算の際の出勤日とは、所定の休日を除いた労働をした日なので、所定休日に出勤をしても全労働日には含まれません。
逆に、労働に起因する負傷や、疾病によって休業している期間や育児休業や出産前、出産後の休業なども、育児、介護休業法に基づいていれば、出勤日としてカウント可能です。
仮に、休暇を取る事ができないなら、現在の労働時間を減らす、残業を減らす、正規の残業代を受け取るという方法があります。
医師は週60時間を超える労働が一般的と言われていますが、労働基準法では、一日8時間、週40時間と労働基準法で定められています。
医師の世界でも、勤務医、研修医は労働者であるため、労働基準法が適応されます。
よって、上限なく残業をさせられるという医師は、違法な状況にある可能性が高いのです。
それは、医師が患者からの診察要請が拒めないこと、そして、残業は当たり前という慣習があることなど、無言の圧力が働いている為だと考えられます。
例えば、医師の仕事には診察以外にレセプトの作成や、スタッフの指導教育、自分の医療技術の研鑽、研究もあるのですが、それらが労働時間内に入らないケースが頻繁にあるからです。
労働基準法に基づく医師の残業ルール
しかしここで今一度、労働基準法に基づく医師の残業ルールについて再確認していきましょう。
1日に8時間、1週間に40時間を超えた労働は「すべて残業」になります。
したがって、研修医などの、早朝出勤での準備や、診療後の記録の作成なども、労働時間に含まれているのです。
また、月に数回ある宿直も、実際に働いていたという場合には、残業時間にカウントされる可能性が高いのです。
よって、休暇を十分に取る事ができない場合や、規定時間での帰宅ができない場合には、残業した分の残業代を正確に受け取る必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、医師の休暇事情をテーマにお話しさせていただきました。
現在も多くの医師の先生方が、休暇を取るのに苦戦したり、休暇すら取れず残業代も受け取る事ができなかったりしています。
医療従事者の過労死が問題視される今、もう一度ご自身の労働状況や休暇、残業制度について見直してみてはいかがでしょうか。
折り合いがつかないと感じたら、転職サイトで別の病院を探すのも有効だと思います。