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今の医学生に人気の診療科と医師不足が深刻な診療科
医師の皆さんも医学生時代、将来、何科の医師になろうか迷った事でしょう。
医師の仕事内容は科によって異なるため、その選択はとても重要ですよね。
今回は、今の医学生はどの科を志望し、何に重点を置いているのか、また、医師不足が深刻な診療科などについて、ご紹介していこうと思います。
医学生に人気の診療科
まず、医学生に人気の診療科について日本医師会総合政策研究機構の調査で分かった事をご紹介します。
男女ともに人気があるのは、内科
男女ともに人気があるのは、内科です。
やはり内科は最もニーズがあり、全国的にも内科医が一番多くなっています。
次に人気があるのは小児科
次に人気があるのは小児科です。
将来性のある子供の命を救える点が、やりがいがあるという事で人気なようです。
例えば、小児外科医の漫画でドラマにもなった『最上の命医』というものの中に、このようなセリフがあります。
『小児外科ってのは目の前にある命を救うだけじゃない。その先にある無限の仲間や子孫たち、つまり無限の樹形図の先にいる人々も救ってるんだ。』
このように無限の可能性を持っている子供たちを、助けたいと思う人は多いのでしょう。
最近人気があるのが、総合診療科
他にも、最近人気があるのが、総合診療科です。
これは、かかりつけ医の重要性が増し、プライマリーケアとして患者さんを診る事が重要視されるようになってきている為であると考えられます。
選択する際に重視する事として、仕事内容に興味がある事、その職業に対する憧れがある事、医局や科の雰囲気が良い事、生活のゆとりがあり、家庭との両立が可能である事でした。
深刻な医師不足が心配されている科
また、深刻な医師不足が心配されている科である、産婦人科、救急科、麻酔科の希望者は、それぞれ8.9%、10.0%、4.5%と、少なくはないという結果がでています。
一方、リハビリテーション科は、0.8%しか希望者がいない事がわかりました。
日本ではリハビリテーション科の医師充足度が最も低くなって、リハビリテーション科の魅力があまり医学生に知られていないのではないかと思われます。
へき地医療に興味を持っている医学生
新たな傾向として、へき地医療に興味を持っている医学生または、期間限定で働いてみたいと考えている医学生は、7割もいる事がわかりました。
総合診療医が人気になっているのと同様、超高齢社会の日本は限界集落に近い状態になってしまっている地域も多いです。
その地で生まれ育った高齢者の方々が、そこで最期を迎えられるようにする為にも、へき地医療をする医師は貴重です。
へき地医療の魅力として、自治医大卒業生が言っていた事には、へき地医療にはあたたかみがあると感じる先生方が多いようです。
人口の少ない町村では患者さん一人ひとりとの関りが深くなり、また、医師にとっても患者さんとの話を通して学ぶ事も多いといいますから、より豊かな経験を積むことができるでしょう。
日本の医師不足
最も人口1000人あたりの医師数が少ない
日本は、G7(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本)の中で、最も人口1000人あたりの医師数が少ないです。
また、日本は今、医師の絶対数不足と医師の偏在という二つの問題を抱えています。
地域によって医師数にばらつきがある
医師の偏在として、地域によって医師数にばらつきがある事と、科によって負担の大きすぎるところがある事が挙げられます。
地域による医師不足の始まりは、2004年度に導入された臨床研修制度で、好きな研修先を選べるようになった事です。
その結果、地方大学病院が研修医を確保できず、周辺病院に派遣していた医師を引きあげた事で、地域で働く医師が不足したのです。
厚生労働省が2017年に出した、「医師偏在対策案」
厚生労働省が2017年に出した、「医師偏在対策案」についてご紹介します。
1.医師確保計画策定と医師偏在の見える化
地域での医師確保対策を強化するため、各都道府県が「医師確保計画」を策定し、都道府県の医師の確保方針、目標、具体的な施策をたてます。
また、それに際し、医師の偏在状況を全国ベースで比較し、客観的なデータで可視化する事を盛り込みました。
2.医師養成課程を通じた地域における医師確保
医師の少ない都道府県の知事が、管轄している大学を含めた、地域医療対策協議会での意見を聞いた上で、定着率の高い地元出身者の入学枠について設定・増員を要請できるという制度の必要性を盛り込んでいます。
3.地域における無床診療所の偏在などへの対応
新たに開業しようとしている医師が、地域ごとの医療の格差を理解し、都市部への開業を自主的に解消することを目的に、情報を可視化すべきだと提言しています。
4.医師が少ない地域での勤務を促すインセンティブ制度
医師が少ない地域で働く医師が勤務内容やキャリアアップに不安を抱かないように支援したり、医師が少ない地域でサテライトのような医療機関の管理が認められるよう、医療機関等の兼任管理をできるようにしたりと、医師が少ない地域での勤務への環境整備を明記しています。
また、そうした地域で一定期間勤務した医師に対して認定制度でインセンティブをつけ、認定医師である事を広告できるようにする内容も盛り込んでいます。
また、認定医師である事を、地域医療を支える一定の医療機関の管理者に求められる基準の一つとすべき、などの文言も盛り込みました。
このように、厚生労働省は医師の偏在の対策を練っています。
医師が不足している診療科について
次に、医師が不足している診療科についてご説明します。
医学を学んだ人が医師国家試験に合格したら、診療科は自分の判断で決める事ができます。
最近は、診療科を選ぶ基準として、社会の状況や医師を取り巻く環境など、外的な要因も判断材料として総合的に診療科を選んでいく傾向にあるようです。
そのときに以下のような消極的な理由が考慮されているのも事実です。
1.勤務時間が不規則ではない。
2.治療に関して訴訟を起こされる心配が少ない。
3.患者の命に直接関わらない。
その結果、勤務が過酷であったり、治療が患者の生死に影響を与えたりするような診療科の人気が低くなっているようです。
産婦人科と小児科
勤務が過酷で、治療が患者の生死に大きく影響を与え、訴訟が起こりやすい診療科として代表的なのが、産婦人科と小児科です。
産婦人科と小児科は、志望する医学生が少ないわけではないのですが、少子化ということもあってか、実際に産婦人科医、小児科医になる医学生は少ないのだと思われます。
小児科、産婦人科は少子化だからといって医師の負担は全く減っていません。
少子化だからこそ、数少ない赤ちゃん・子供を一人でも多く救おうという高い志を持った医師がいるべきであると思います。
産婦人科も小児科も、未来ある赤ちゃん・子供を助ける診療科であり、やりがいが最もある診療科の一つです。
医師不足が深刻な診療科として、麻酔科
また、医師不足が深刻な診療科として、麻酔科があります。
麻酔科医は、外科手術中、ずっと患者さんの容態をチェックする、とても重要な医師です。
外科手術は、長時間に及ぶものも多く、麻酔科医もとても体力を必要とします。
過酷な上に、麻酔科医自体も少ないとなると、負担はかなり増大します。
また、麻酔科医がいなければ、外科手術は出来ません。
麻酔科医は地味な診療科に思われがちですが、手術前の患者さんと最後に話しをする相手になる可能性が高く、患者さんの心に一番寄り添う事の出来る診療科であるとも言えます。
本記事の参考URL:
https://www.medwatch.jp/?p=2899
まとめ
ここまで、今の医学生に人気の診療科と医師不足が深刻な診療科をご紹介してきました。
内科の人気は安定しており、小児科医も人気という事でした。
しかし現在、小児科医は不足しており、 人気でも小児科に定着する医師は少ないようです。
一方で、総合診療医、僻地医療に興味を示す医学生が増加傾向にあります。
総合診療医や僻地医療をする医師は、日本の超高齢社会のニーズにあっている事から、今後、人気が高まると思われます。